嫌なら辞めりゃいいのよ

一昨日DVD貸りた「燃ゆるとき」を見ながら思ったこと。

mixiやらblogやらで同業者の日記を見て思うことがある。それは、仕事や待遇の愚痴が多いということだ。かなり優秀らしい人でも結構グチグチやっている。

愚痴自体は何も悪いことだとは思わない。愚痴なんてのは、「伸び」の一種みたいなもので、同じ姿勢を続けていれば「伸び」もしたくなる。だから、たまに愚痴るのはいいことだと思う。まぁ聞かせる相手を選ばなきゃいけないから、その辺は注意した方がいいんだけど。

呆れるのは、もっと根深い愚痴の方だ。それが待遇であったり、業界の空気であったり、まぁネタはいろいろなんだが、簡単に言えば「そんなに嫌なら辞めろよ」と言いたくなるような愚痴だ。

この業界は、実は従事する人を極端に選ぶ。そういった意味では、いわゆる専門職な人達と同じようなものだと思う。顧客や上司が馬鹿でなくても、死にそうになるくらい働くハメになることは少なくない。働かなくて済む人であっても、不断の学習が必要な世界であるのは事実だ。デートの時であっても、「ねぇ。何考えてるの?」と聞かれて「Lisp objectのデータ構造」とか答えてぶっとばされることがないわけでもない。そんなことがあるのが、この業界という奴だ。

そんな業界であっても、きっちり定時に帰る人や、仕事と割り切ってやってる人もいないではない。とは言え、それは少数派だ。客観的に見れば「仕事で生活が侵食されている」という人の方が多数派だ。

私自身は別にそれで構わない。この仕事が好きだし、業界も嫌いじゃない。たまに馬鹿な客や取引先に当たって参るわけだが、それでも仕事が嫌いになったりはしない。連日遅くまで仕事をしていても、苦ではない。昔、日経BPのインタビューの時に「生まれ変ってもこの仕事をしたい」と答えたが、それに嘘はない。

他の仕事ができないわけでもない。実際、前職では情報関連部署にいることが多かったが、それでもテレビ中継やらステージの音響照明もやった。照明は会社を辞めた後も指名で仕事が来たこともあった。それはもちろん凄い技術があったからではなくて、「ソリューション」が良かったお陰だったのだが、まぁその程度には他の仕事もできる。だから、無理してこの仕事にしがみつく必要もない。ただ、今の仕事が好きだからやっているだけだ。

そうやって好きでやっていると、それなりに思い入れもある。仕事に思い入れがあるが故に、グチグチと文句を言いながら続けている人達を見ると、腹が立ってしょうがないのだ。そんなに嫌ならこの仕事を辞めてしまえばいいのだ。何も君がその仕事をしなくても、業界は困りはしない。困りそうに見えるかも知れないが、実際に困ることはまずない。上司が泣いて止めていたって、実はそんなに困らない。多少才能があっても、まぁ大した問題じゃない。君の代わりなんて、業界内にはいくらだっているよ。何にせよ、嫌々やっている連中に付き合わされるのは勘弁だ。

職場環境だけが問題なら、そこを辞めればいいだけだ。どうしても肌に合う職場がなくて、でもこの仕事が好きだと言うのなら、あまりお勧めはしないが一人でもやって行ける。起業するのも悪くない。たいていの人は私よりも金持ちなんだから、きっとできると思う。

仕事が嫌なら、業界辞めちゃえばいい。「今の生活」のために働かなきゃいけないと言うんだったら、覚悟を決めてグチグチ言わずに働けばいい。でも、辞めちゃって他の業界に行く方が幸せだと思う。グチグチ言いながらも辞めないってことは、きっとこの業界が楽だと思ってるのだろう。だったら、グチグチ言わなきゃいいのに。

この業界が好きであるかどうか。それがこの業界で生きて行くための「資格」ではないかと思う。