「自粛詐欺」

諸君。私は自粛が嫌いだ。「不謹慎」とか言う奴も嫌いだ。

前も書いて「しつこい」と言われようと嫌いなものは嫌いだし、おそらくこれから自分の身に起きるであろうことを考えると戦慄する。だから、「自粛厨」「不謹慎厨」はdisどころか馬鹿にする対象ってことにした。

そんな中で、この記事はちょっと考えさせられるものがある。

マラソン中止、参加料から義援金 「承諾必要」苦情続出

自粛大反対派としたら、「てめーで勝手に自粛なんてしたからバチ当たったんだよ。ばーか」と言いたいところだし、まぁ多分実際そう言うんだろうけど、これはそんな簡単な問題じゃない。なぜなら、これはまるっと詐欺の手口として応用可能だからだ。

手口としては、

イベントを起こす -> 金集める -> 「自粛します」と言う -> 「集まったお金は義捐金にします」

と言うだけだ。そうすれば、いくらでも

チョロまかす

ことが可能だからだ。

イベントが中止になって返金とか言う人はそれ程多くない。高額のチケットとかなら別だが、「返金なんて面倒臭い」程度の額であれば、普通の人は返金しろとか言わない。もちろん言う人もいるだろうから、そーゆー人に素直に返金しときゃいい。後の手順を踏めば倍返しにしてもいいんじゃないか? わからんけどw

「イベント中止の理由」が何となく納得出来ること、不可抗力っぽいことであれば、ますます返金しろと言う奴は減る。「自粛します」の類のことに反論出来る空気は、日本にはあまりない。

さらにそこで「集めたお金は義捐金にします」とか言えば、ますます返金が言いにくい。そんなことを言えば「モンスター」だとか

不謹慎だ!

とか言われかねない空気すらある。件の記事でも、主催者の苦悩が語られているせいでなんとなく主催者に感情移入してしまって、クレームをつけている人達はなんとなく「モンスター」に見えてしまう。

「義捐金」にいくら出すかは、出す人次第だ。別に額なんか決まってないし、報告義務があるわけじゃない。まぁつまんないつっこみを避けようと思えば、「イベント開催の準備費用を除いた分を義捐金にしました」みたいな計算したような紙を出せば、納得してしまう人は少なくなかろう。自治体やNPOとかでやれば監査とかあるのだろうけど、「実行委員会」とかならどうとでもなる。

まぁ多分件の記事の「主催者」は素で困っているのだろうと思う。でも、悪用しようと思えばいくらでも悪用出来ることでもある。しかも、妙に世論が味方についてしまいやすい図が作れてしまう。

だからどうだってことはないし、件の人達が詐欺だとは言わない。でも、「自粛」「不謹慎」にはこんなことを可能にしてしまう土壌を作る効果もあるってことは、もっと知られても良いように思う。既に「義捐金詐欺」はあちこちに登場していて、うちにもそーゆーメールが来ている詐欺師は何でも詐欺のネタにするのだ。

PS.

twitterでつっこまれて気がついたのだけど、この「詐欺の手口」は、件の記事が(多分)詐欺でないがゆえに、妙な説得力を持ってしまう。事件にでもなった後なら警戒もするが、「まっとう」な前例があるがゆえに、警戒心が薄くなる。