ケチ、オタク、田舎者を客にしてはいけない。

2年近く放置しておいた書きかけのエントリを発掘した。まぁ、いろいろほとぼりも冷めてるので良かろう。「いけない」的なエントリをいくつも書くのは気が引けるのだが。

体力のある大企業と違って、フリーランスや零細企業だと、「ダメな客」から仕事を受けてしまうと命取りだ。

もちろんそういったところでは、「お付き合い(接待受注)」というのもあるのだが、体力がない身ではそれは限界があることを知っておくべきだ。

ところが、案外気がつかないこともある。

表題に挙げたのは、出来ることなら避けた方が良い客だ。こーゆーものはだいたいポイントは3つ挙げとくものなのでこれ以上挙げるのをやめたのだけど、「身内(友人知人親戚)」も次点として挙げておきたい。

ちょっと主体的に営業した人なら、うなづけることはあると思う。ピンと来ない人のためにちょっと説明すると、これらに共通することは

金払いが悪い

ということなのだけど、それは

  • 物や労働の価値評価が悪い
  • 過剰品質を求めがち
  • 金がない
    • ということに依るところが大きい。

      「ケチ」が金払いが悪いのは当然なのだが、↑のような理由で「オタク」と「田舎者」も払いが悪い。

      「いや、オタクって自分の好きなものに金払うじゃん」とかってあるし、それも事実なんだけど、お仕事する上ではオタクは金払いが悪い。どう悪いかと言えば、

      生半可な知識で仕事を評価する

      からだ。「簡単ですよね」という挑発をしてしまうのも多くはこの種の人達だし、上流設計のようなところで、細かいことにつっこんで打合せの時間を無駄に使わせてしまうのもこの種の人達だ。結果的にもらう金以上の働き、それもわりとどーでもいーところに時間と手間を取られて、誰も幸せにならないことになってまう。

      さらに、ここで「ケチ」がコンボとなると、さらにタチが悪い。具体的に言えば、

      「私がサーバ作れば○円」

      とか言っちゃう類のことだ。そりゃ、汚部屋に余ってるパーツと雑誌の付録のCDでLinux入れりゃ、タダみたいな額で作れるでしょうよ。それに、しばらくはそれで動くだろうし、それで足りることも少なくはない。

      でも、それを仕事として他人に頼めば、当然いろんなところに費用発生する。「余ってるパーツ」が全部使えたとしても、それを組み立てる時間にだって費用発生する。そういったものを全部足し合わせれば、そんなに安いものにはならない。仕事では「○円」では作れないのだけど、オタクにはその辺がよくわからないようだ。

      もっとケチになると、「このサーバを使って下さい」とかハード支給されたりする。そのハードも現行品なら別に困ることもあまりないが、「能力的に問題ありませんよね」的に古いハードを支給されたりすると、手間ばかり増えてしまう。確かに「地球に優しい」のかも知れないけれど、高々数万円のハードウェアをケチるために、○10万円の手間が増えてしまうのは馬鹿げている。現行品であっても、スペックが合わなかったら、アンダースペックなら結局手間だし、オーバースペックなら余分なことを考えることになってしまう。結果的に高いものについてしまう。

      「田舎者」がなぜいけないかと言えば、地方の目線地方の予算で仕事を出してしまうということが少なくないからだ。

      良いとか悪いとかその原因は何かという話をとりあえず置いておくと、田舎と都会では料金の相場がまるで違う。これを忘れていると、「ふっかけられた」とか「値切られた」みたいな不毛なすれ違いになってしまう。地方だと「SE」で50万/人月でも高いとか言われたりする。

      でも、よく考えてみれば、「田舎にはマトモなITの仕事がない」とかって嘆きはよく聞くので、そういったすれ違いのストレスに腹を立てるくらいだったら、

      どうぞ安い田舎でやって下さい

      と放り出してあげる方が、地方のIT振興になる。そういった意味ではポジティブな意味でも、客にしない方が良い。地方では一番のお得意様は自治体で、その予算は皆様の「血税」だったりするわけなので、都会に吸い上げてしまうよりは、地方で回させてあげようw

      と、このようにいろいろ書いて行けば、冒頭でピンと来なかった人もなんとなくわかってくれるのではないかと思う。とにかく、この種の人達は人の労働の評価が低く、依頼は面倒で、金払いが悪い。

      次点に挙げた「身内」も同じだ。特にこれらがコンボとなると、ますますタチが悪くなるので、

      多忙を理由に断わる

      のが無難だろう。まぁ、予算オーバーでも「接待受注」しなきゃいけないことも多々あるし、いろいろ困っている時に助けてくれるのも「身内」だし、そういったものを積み上げなきゃいけないのが、零細の厳しいところでもあるのだけど。

      これくらいなら、まぁちょっと理由を説明されるとわかるのだけど、これには「応用問題」がある。

      たとえば、「オタク」「ケチ」というのには、「大手SIer」も同じようなものだ。「大手SIer」のSEだと、あれこれ仕事に細かい注文をつけて来る点や技術的半可通が多いとか同じだ。また、ハードウェアやミドルウェアに「支給品」を使わせようとするあたりも「ケチ」と同じだ。

      「身内」「田舎者」というのは、「なじみの客」も同じようなものだ。最初はいろいろ線引きして物事が進んでいたものが、いつの間にか「身内」的な扱いを受けたりする。いつの間にか「上得意様」だったものが「忌しい身内」にクラスチェンジしてしまう。「元の勤務先」とか「元の顧客」とかも、うっかりするとこれらに該当してしまう。

      まぁそうは言っても、これらは実は頼りになる客でもある。そういった意味では、「NGワード」に注意しつつ、なるべく「これ以外」に対するリーチを増やすことを考えて行動しなきゃいけない。特に「うちについていれば仕事はいくらでもあるから」的な一見ありがたいところとは、適度な距離を置いて取引した方がいい。そういった意味では「客にしてはいけない」と言うよりは、

      距離の置き方に気をつけろ

      と言った方が良いかな。まぁ、賢明な人はそう思って読んでくれたと思うけど。