「1人口」のための計算

前のエントリで「1人口を稼いでこそ0を1にしたと言えるんだ」ということを書いたのだが、ではどれくらいでそうなるか計算してみた。

要するに「皮算用」なんだけど、こういった計算は結構厄介でそれでいて作ってやってみると楽しいので、そのためのシートを公開します。

本当はRubyとかJavascriptで書いたりする方が汎用性も高いような気がするのだけど、こういった数字を欲しがるのは事務方なので、事務方に出しやすいようにExcelのシートでやってみました。

能書き

このシートは基本的な採算計算をするためのもので、IT業界にありがちの商品について、売上と費用をシミュレート(皮算用)するものです。

各種パラメータを調整することにより、

  • パッケージ販売
  • オープンソースサポート
  • 有償版サービス有りウェブサービス

の採算を皮算用します。

この表をじっと見ていれば、「いつ採算分枝を超えるか」「累損一掃はいつか」「いくら儲かりそうか」「あるタイミングでの必要リソースは」と言ったようなことがわかるでしょう。

使い方

シートの黄色に塗られたところが入力パラメータ。フィールドの意味が書いてあるので、それに従います。

営業やサポートリーダー、開発については計算されないので、適当な数値を入れて下さい。

制限

お手軽皮算用なので、モデルも計算もかなり荒い。でも、どう荒いかを理解して使えば、そこそこ使いものになるので、「どう荒いか」について書いておきます。

  1. 売上モデルが実にいい加減
    売上は二次の増加を仮定している。つまり、月々一定割合で売上が増えて行くという仮定がされています(これが「加速度」というパラメータ)。これは市場に競争がない場合にはそう大きな誤差ではありませんが、競争がなくてもある程度たてば飽和するでしょうし、競争があれば減ることもあるでしょう。また、販促による売上増加も考慮していません。
  2. 費用要素の変動を考慮していない
    各種単価は一定。突発的支出や「ブレーク」みたいなものは考慮していません。
  3. 売上、費用要素の選択が大雑把
    売上、費用要素はシートにある程度しか考慮していません。通信費や設備費のようなものは考慮していないので、適当にパラメータ化しないといけません。

他の商品との複合とかも考えていないので、あくまでも単一商品でのみの皮算用です。

モデルが荒いので、長期の皮算用には向きません。この表も2年間計算するようになっています。まぁコの業界の市場を考えれば、半年〜1年で黒字にならない商品は諦めた方がいいように思うので、そう言った意味ではちょうどいい具合かも知れません。また、モデルを作った人ならわかると思うのだけど、モデルには「荒さのバランス」というものがあるので、荒い計算をするには荒いモデルの方が解が安定すると思います。

計算例

  1. パッケージ販売
    1200万円で開発したパッケージを、48000円の定価で販売する。営業1名サポート1名。売り切りでサポート料は取らない。細かいパラメータは表を参照のこと。

    結果だけ言えば、1年ちょっとくらいで累損一掃出来るようです。

  2. オープンソースサポート
    同じものをオープンソースにして、5000円の月額でサポート。営業不在。技術も片手間。タダな分広まりも早いと仮定。

    こういった仮定でも、販売と同じようなタイミングで累損一掃出来そう。

  3. ウェブサービス
    1200万円で開発したシステムを、有料会員の支出平均2000円程度でサービス。無料会員あり。

    有料会員移行率と会員あたりの費用のバランスが大事だということがわかるでしょう

もちろん、この結果を鵜呑みには出来ませんが、どのパラメータがどう効いて来るかということを知ると、商品戦略や経営というものを垣間見ることが出来ると思います。

このままでパラメータをいじっても面白いし、パラメータを増やしてみるのも面白い。改良したのが出来たら教えてらえると嬉しいな。

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