「ソフトを一人で作るということ」

ソフトを一人で作るということ

言いたいことはよくわかる。書かれていること一つ一つはみな納得するし、同意もする。実際、現在の私はそうだし、またそうあるために前の会社を辞めたわけだから。

しかし、それでもやはり組織はあるべきだと思う。だからこそ、「自分の会社」はそれなりの規模のしたいと思う。それはなぜかと言えば、

一人でやる限界

ということを知っているからだ。

「一人でやる限界」と言ってもいろいろなものがある。技術者なら誰でもぶち当たる「自分の能力の限界」もあるし、様々な(あまり得意でない)ことに手が回らないという問題、あるいは「いつまでも現役ではいられない」というような心配… 一人で物事をやるには、超えたくても超えられない壁がある。それを超えるために「組織」というものがあるわけだ。

もちろん組織なんてのがあると、その組織の維持のためのコストは発生する。また、いろんな工夫をすれば組織なしでやって行くことも可能だ。しかし、組織にはそんなコストを払っても余りあるメリットがある。「一人でやる限界」は全て解決すると同時に、「他の人も一人でやる限界」も解決する。

私はいわゆる「おーぷんそーすぷろぐらま」達が、「大組織に寄りかかって悠々自適にhackする」という姿勢はあまり好きではない。また、その立場にある者が「おーぷんそーすのこみゅにてぃは」みたいな大口を叩くのには批判的だ。いや、もっとはっきり言えば、

他人に食わせてもらってデカい口叩くな

と思う。彼/彼女が「その組織の主体」となっているなら、つまりその組織の稼ぎ頭であるなら、「デカい口を叩く権利」があると思うが、組織をパトロンみたいにしてるのなら、少なくとも稼いでいる連中に対しては謙虚にふるまうべきだし、その人達の心情を理解すべきだ。

ではあるが、どんな人であれ

組織を自分の能力の増幅器

として使っているのなら、それは組織の有効利用であるし、双方にメリットある。またそんな組織でなければ所属する意味はない。組織とはそうあるべきだ。支えあいつつ、より大きなメリットを引き出すのが、優れた組織と個人との関係であると思う。どちらかが一方的に頼っている姿は、どちらがどうであっても美しくない。

と同時に、「いざとなれば何でも一人でもやれる」という気概は持つべきだし、出来ればそんな経験をしておくのは良いことだと思う。また、全ての組織は一人から始まるものでもある。どんなに巨大プロジェクト、あるいは巨大組織であっても、最初は一人で始めるものだ。

アシナガバチ(wasp)は一匹で巣を作り始め、育て上げて大きな巣を作る。いつまでも一匹であってはならないし、ミツバチ(bee)のように最初から大勢であることを頼るのでは、one of them以上のものになるのは難しい。

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