永年の夢が叶う

たまには外で晩飯と思い、「焼肉のさかい」に行く。

他はどうか知らないが、末広町の駅のところのさかいは、各席にタッチパネル付きディスプレイがある。

端末端末

このディスプレイは何をするものかと言うと、メニューを選択して注文を出すというもの。つまり、店員を呼んだ時に「これと、これと」と言うのと同じことをディプレイ上でやれば、それで欲しいものが注文できるというものだ。

実はこれ、私が20年以上前から熱望していたものだ。

ファミレスや「ちょっとおしゃれで女の子の好きそうなレストラン」に行くと、やたらに長い料理名がある。そう「わがままシェフのきまぐれサラダ」みたいな奴。もう「いい歳」になってしまったおっさんが、これを頼むのはなかなか難しい。「サラダ」と一言で済むかも知れないものを「わがまま…」とか言わなきゃいけない面倒さと、そういった「おしゃれのためだけ」についている言葉を一々口に出すのも恥ずかしい。

必要なことは、そのサラダが欲しいという意思が伝達することだ。これは、店員->厨房間でもそうであろう。また、こちらが一生懸命「わがまま…」とか言って店員に伝えても、店員が復唱する時に「サラダ」とか言われてもセツないものがあるし、復唱の時には「わがまま…」をつけてくれていても、厨房に伝達する時に「サラダ」とか言われてもセツない。じゃあ、どう略せば良いかと考えても、なかなかそれが考えつかなかったりして、どうやって頼もうかという葛藤がある。

20年以上前、彼女でもない眼鏡っ娘と深夜ファミレスに言った時に、ある事件が起きた。当時の私は既にその葛藤を諦めていて、メニューを直接指差して「これとぉ〜」とやっていると、その娘は「○番と×番と」とオーダーしてしまって、それが通った。どうやらそこでは「○番と×番」で通用するらしい。「コード化」ということの素晴しさを感じると共に「指差しオーダー」の限界を感じたものだった。

それ以来、実際のオーダーは「○番と×番」方式を採用するようになったのだが、心の中では「指でメニューを押すだけで注文したい」と思うようになった。

原理としてはどうというものではない。タッチパネルがありさえすれば、どうやろうとシステムは実現可能だ。20年前の当時であっても、「やる気」さえあれば構築可能なシステムだったはずだし、設計見積りくらいはではやってみた。ただ、システムを構築するためのコストは、ソフトウェアの開発費を除いてしまっても結構かかるため、小さいレストランでは採用するのは不可能である。また、日々のオペレーション(メニュー変更とか)も大変だということもあるので、どこにも提案する気の起きるものではなかった。

それから20年。世の中は変化し、コンピュータのコストは劇的に安くなった。「日々のオペレーション」という問題も解決しやすい土壌が出来てきた。しかし、今日、「焼肉のさかい」でそれを見るまで、他のファミレスの類でもそれを実現したシステムを見ることはなかったのだ。それまででも、ファミレスに端末みたいなものがある店舗もないではなかったのだが、なぜだかその店舗の「端末」はゲームや占いでしかなく、「オーダー」をするものではなかった。

「焼肉のさかい」のシステムも、どうということはない。単にタッチパネル付きディスプレイがあって、そこに表示されるメニューに従ってオーダーするというだけだ。画面展開がなかなかこなれているのは、多分稼働してからしばらくたっているか、フィールドテストをした結果だろう(一昨年の「運を使い果たす」以来行ってないしあの時はなかった)。件のシステムは、「メーカがとりあえず作りました」的なものではなく、「あれとこれをちょうだい」が見事にシステム化されている。

ハードウェアはどうもブレードクライアントか何からしく、ディスプレイケーブルが直接どこかに行っている。おそらくはブレードクライアントか何かがあるのだろう。「焼肉屋」という過酷な環境で使うためには、これは全く正しい設計だ。レスポンスも悪くない。

私が作ったわけではないが、これは「私の20年来の夢」の叶ったシステムだった。これで「注文を聞けない外国人店員」にむかつくことなく(この店舗で何度キレそうになったことか)、欲しいものが欲しいだけ注文できる。まぁ注文が簡単になった分、またアイドル時の宣伝がいい分、よけいに注文してしまうという問題はあるが、それは店にとってはプラスなわけだから、非常に良いシステムだろう。

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