IT技術者の給料のこと

私は実は「プログラマの給料」って専門職資格職と比較すると、「高い」部類に入るのではないかと思っている。

たとえば弁護士のスポットの相談単価は30分5000円ほどだ(各弁護士会のサイトに出ている)。これはIT系技術者の作業単価と比較して、そんなに高くない。いや、メーカの技術者だったらもっと取るだろう。「スポット」でいきなり呼び出されることは、そんなにあるわけではないからそこそこ高くしておかないといけないということもあるから、それは当然だ。弁護士が相談でまるっと1人月働いて200万弱。これとても「コンサル」の類だと思うと、「まぁそんなもの」だ。

弁護士になるには、司法試験に通るだけではなく、いくつかのハードルがある。また、なってからも不断の勉強が必要なのは、専門職の宿命だ。この辺の構図は実はIT系エンジニアとして大差ない。「相談」だけ受けていると、こんなものなのだ。

つまり、「世の中の尊敬を集める専門職で偉そうな弁護士様」と、「その辺のにーちゃんをちょっと教育したIT技術者」とは、「給与原資」は大差ないのだ。「でもまるっきり給料違うじゃん」という話はあるが、それは「成功報酬や個人報酬がバンバン入るハイレベルな弁護士」と比較してしまうから。一般企業に勤めると、資格手当がついたりして「他の職種の人達よりも高い」ということになるらしいが、そもそも一般企業に勤めたい奴は弁護士にはあまりならないものらしいので、「普通の弁護士」はそんなに給料が高いわけじゃない。

弁護士が単価が公開されているから弁護士を例にしたけど、この辺の事情は医者も同じ。まぁこの辺は専門職なマイミクさん達はわかるところだろう。

あるいはもっと技能的な仕事、たとえばアートなお仕事や職人な仕事だと、「仕事が少ない(回転率が低い)」という問題があって、「技能のわりに安い」ことが起きうる。先日、「会社印が印相が悪い」と嘆いたけれど、いろんな「単価」を考えれば、あの金額であの品質なら「素晴しい」と言っても良いように思う。

そういった意味ではIT技術者の給料は高過ぎるんじゃないかと言えないこともない。「パートやバイトの単価」も、コンビニとかと比べりゃ随分と高いしね。

じゃー身の回りの「IT技術者」達の給料が高いような気がするかと言えば、あまりそうじゃない。「前の勤務先」なんぞ「あれだけの技術者をあの給料」と思う。「あの給料」は別に役員が搾取してるからでもなく、他と比較すれば役員報酬も低いから、結局みんな「あの給料」でしかない。

もちろん高いところもある。SIerで高いところは、たいてい単価も高い。あるいは高い単価の取れる上流工程専門だったりする。うまくいってるパッケージ屋やネットサービス屋も高い。でも、給料が高いからと言ってやってることが違うかと言えば、そんなに違うわけじゃない。まぁ上流工程の連中はプログラム書いたりはしないけど。

パッケージ屋やネットサービス屋でも、安いところは安い。

で、なんでそんな違いが出るかと言えば、技術者の能力とか生産性じゃなくて、「会社が儲かってるかどうか」なわけだ。「儲かってるかどうか」の中身は、業種業態の違いや、営業力やブランド力の違いとか、まぁいろいろなわけだけど、基本的には「会社(経営)の責任」だ。

だから、抜本的に給料を上げたかったら、転職なり転社なりするしかない。同じ職場で給料を上げたかったら、「努力すること」になるけど、それは抜本的な解決にはならない。

そういった意味では、「しんどい思い」とか「不断(普段)の勉強」は給料がどうこうというところに出て来てもあまり意味はない。むしろ、「給料以外の部分」に利いて来ること。給料を上げたかったら「いい給料の出る職場を探す」というところに「しんどい思い」をするべきなのよ。