おごテクノロジー(1)

料理をするのは嫌いではないが、時間や金がかかるのはあまり好きではない。

そんなわけで、平日は手抜き料理が続く。幸いなことに同じものを何日も食うのはわりと平気なので、多めに作って食い続けたり、目先だけ変えたりする。

私は化学調味料の類があまり好きではない。手抜きで中華をするための「味覇」は持っているが、これもあまり使わない。12cmくらいの缶がもう5 年くらい持っているだろうか。基本的には、スープや出汁は自分で取る。いいスープや出汁は高度な技術が必要なのだろうが、どうせ自分が食うだけなのでそれなりの味があれば十分だ。

以前、「豚シャブの湯を捨てずに使い回してスープにする」という話を書いた。あれはあれでおいしいのだが、スープになるのに時間がかかるので、すぐ必要な時には向いていない。そこで新しい方法を考えた。前にチラと書いたのだが、今回はもうちょっと詳しく。

まず、豚ひき肉を買って来る。品質なんぞどうでもいい。私が買うのはハナマサの100g 70円くらいのもの。安いひき肉だと脂が多いが、これはこれで使い道があるので、安いのでいい。量は「ハナマサの1パック」くらいだ。結構ある。

玉ねぎを1つミキサーでジュース状にする。玉ねぎだけだとミキサーは稼働してくれないので、適当に水を入れてやる。別にこれが多くても構わない。この「玉ねぎジュース」を鍋に入れて火にかける。

その鍋が煮立つ前にひき肉を入れてしまう。煮立つ前どころか、火にかけた直後でいい。塩やら胡椒やらも入れてしまう。そして、箸か何かでかき混ぜて、ひき肉を溶かし込む。これをトロ火で煮る。途中、肉が固まろうとするので、そうはさせじとかき混ぜる。

しばらくすると、それまでピンク色だった鍋の中身が、灰色になって来る。それでもまだ煮る。アクが出ていたりするので、気になる人は取るといい。私はアク取り大好きアク代官だ。

煮ていて水が少なく感じられたら、加えてやる。水分はそのままスープだから、スープがいっぱい欲しけりゃ水を多くする。まぁやたらに薄めてもしょうがないが。味を見て、適当な塩分になるように加減する。豚臭さが気になるようなら、胡椒やニンニクを入れてみるといい。「適当な味」と言っても、あまり濃く味をつけてしまうと、他に使い難いので、程々にしておく。

肉が諦めて固まろうとしなくなったら、だいたい煮るのは終わりだ。もっと厳密に言えば、肉の筋が柔かくなったら終わりでいい。筋が柔かくなったということは、かき混ぜる箸に筋がまとわりつくのがなくなることでわかる。

ちょっと冷めたところで、肉と汁を分離する。ザルなり網杓子なりを使えばいい。汁の中に肉が残ると使い難くなるので、汁に肉は残らないように。逆に肉に汁が入ってもそれ程害はない。

肉は他の料理に使う用に保存する。

汁はそのまま冷やすと、脂の分離がしやすくなる。あまり冷やし過ぎると汁はゼリー状に煮こごるので、その前くらいまで冷やすのが、脂の分離にいい。

脂はお湯なり水なりで洗って保存しておけば、ラードとして使える。脂を別容器に取り、熱湯を加えてよく混ぜ、そのまま脂が固まるまで冷やして水を捨てる。これを何度か繰り返すと、純度が上がる。純度が低いと、おいしいのだが焦げやすい。

汁は舐めてみればわかるが、立派にスープになっている。多分濁っているだろうが、それが気になる人は分離すればいい。まぁ分離しなくても味にはそうそう影響はないが、濁ってない方が日持ちがするようだ。

「ハナマサ1パック」分の肉でこれをやると、1週間分の肉スープと、味つきひき肉ができる。

ひき肉はスープを取ってしまったら「だしがら」になるような気がするが、そんなことはない。これだけスープを取ってしまっても、十分おいしい。むしろ、余分な脂が抜けている分だけ、食べやすい。

これらをどう使うかは(2)へ。