「田舎者」の危険

「田舎者」と言っても、別に地方出身者という意味そのものではない。

私が「田舎者」と断じるものは、全て「不特定多数への想像力の欠如している者」である。なんせ田舎には人が少ないから、「不特定多数」というものがそもそも存在しなかったりする。だから想像する必要性がない。お互いに知っている者同志で物事が完結するから、「不特定多数」がどんなに恐しいものかということが想像がつかない。だから、そんなものに対しての配慮が出来ない。これを以って、「田舎者」と呼ぶ。

たとえば、通路で立ち止まってボーっとしている人なんかは、「田舎者」の典形である。そこに「不特定多数」の人が通行し、自分がその人達の邪魔になるかも知れないということが想像できないから、そういった行動を取ってしまうわけだ。

実はこれは別に地理的な「地方」に限った話ではなくて、たとえば「来訪者の少ないブログ」とかもその類だ。普段は確かに「田舎」なのだろうが、ネットの恐しいところは、一瞬にして「都会」に引きずり出されてしまうということ。そうすると、「田舎者」は右往左往するしかない。それが「炎上」だったり「slashdoted」だったりするわけだ。

先日の「母の日」に、例年通りのことが起きている。

【楽天通販】 「母の日のプレゼントにした花が枯れてました」…苦情相次ぐ

このスレの中にある、レビュー

いつもアンのお花屋さん

を見ると、面白いことが見えて来る。

ここも事故らせたらしく、酷評が続く。ところが、その中に一見「業者乙」と言いたくなるようなカキコがいくつか。しかし、内容がわりと具体的なのも散見されるので、おそらく全てが「業者乙」ではなく、利用者が書いたものだろうと思われる。つまり、一部の人には好評だったと言うことだ。

レビューを見ていると、どうやらここの店は、楽天のメルマガ(あのspamのように来る奴だろう)に広告が出たらしい。その結果、注文殺到したようだ。そのせいで処理能力を超えた注文が来たものだから、処理能力を超えた分が悪評となり、処理できたものは好評だった… という図が想像できる。おまけに完全に処理能力を超えてしまっているものだから、苦情対応すら満足にできてない。

好評なものを読むと、どうやら誠実にやって来た店のようだ。客の無理な要求も聞いていたようでもある。ところが処理能力を超えた分が全てクレームになってしまっているわけだ。

おそらく担当者は必死になって対応しているのだろう。今までのように誠意を持って。ところが逆にその「誠意」がアダになってしまって大勢の不満を解消しないでいるものだから、悪評は続き、好意を持ってくれた客の支持は「業者乙」になってしまっている。

処理能力を超えなければ、目の前にいる客、今対している客に一生懸命になることは、悪いことではない。しかし、処理能力を超えてしまってもそれをやってしまうということは、「不特定多数」というのがどういったものかということへの想像力の欠如でしかない。「田舎のいい人」が往々にして陥りやすい罠だ。

この店の事故の一番の原因は、自分たちの処理能力を考えないでデカい広告を打ってしまったことにある。それが全てを狂わせたのだ。つまり、悪かったのは誠意の有無ではなくて、「不特定多数への想像力の欠如」だったわけである。

まぁ人間の想像力には限界があって、見えないものは想像もしにくい。バーチャルなところではOKだったものが、リアルと接点を持ったところで限界があったことが露顕してしまうというのは、ある程度はしょうがないのかも知れないが。

# そこでSecondLifeかなぁ…

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