「極言暴論!」の勘違い

個人を上げてdisるのは好みではないが、

「A社だからできる」と逃避に走るITサラリーマンの悲哀

この中で、

それに対してタイプ2は「なぜ、そんな暗い話ばかり書くのだ」「非難ばかりしていないで、解決策を提示しろ」というもの。極めてもっともなご意見だが、「極言暴論!」ではその批判に応えることはできない。このコラムでは、IT部門やIT業界に長くくすぶる問題について極言、あるいは暴論することで、明瞭にすることを狙っているからだ。そして「解決策は皆さんが自分で考えよ」である。

と言い訳してるんだが、勘違いここに極まれりだ。

はっきり言わせて戴ければ、この人の「IT部門やIT業界に長くくすぶる問題について極言、あるいは暴論することで、明瞭にすることを狙っている」なんてのは、わざわざ文字にしてもらう必要なぞない。なぜなら、この業界である程度の問題意識を持っている人達(日経コンピュータの読者とか、そのはずですよね?)にしてみれば、

常識以前

と言って良いくらいのことに過ぎない。ひらったく言えば、

「はいはい。一々言われなくてもわかってるよ」

ということをドヤ顔で語られているに過ぎない。この回の「A社だからできる」という言い訳の裏側には、

問題点はわかった。解決策もそれしかないのはわかってる。でも、弊社ではそれはなかなか実行出来ないのだよ

という言葉が隠されている。つまり、「真の問題」は、件のエントリの著者が言っているような、業界人は百も承知のことではなくて、さらにその深層にある。そここそが、

「IT部門やIT業界に長くくすぶる問題」

の正体である。この人にわかるように言ってあげるなら、

なぜ「A社だからできる」と言ってしまうのか

というところに、問題の本質がある。

そういった「掘り下げ」をしないで、たいした取材もしないですぐ思いつくような、業界人にとっては半ば常識になっているような「問題」を問題として語るから、「読者の琴線、あるいは逆鱗に触れたようで様々なご意見やご批判を頂く」ということになる。

「食べ過ぎるから太る」みたいなこと言ってもしょうがないのである。「当事者の意識の問題」ではない。「全ては“サラリーマン根性”のなせるわざ」とかで思考停止して掘り下げないから、

あの馬鹿を黙らせろ

とか思うのである。

環境変化の激しいIT業界にいて、環境の変化に気がつかないはずがない。組織としても個々人としても、「わかってはいる」のである。そして、それは「サラリーマン根性のなせるわざ」みたいな

精神論

で解決する問題ではない。それが言えないなら、黙ってろと。わかってんだから。

PS.

このエントリは私自身のtweetを整理したものなんだけど、そこで書いてたことを一つ忘れてた。

件の人の書いたこと、それ自体は一々正しい

正論

なのよ。でもね。「正論」書いてドヤ顔していいのは、中学生までなの。「大人」はその「正論」の向こうに到達しなきゃいけないの。と書けば、件の人が、どれだけ無意味な放言をしているかわかると思う。正論だけなら、中学生でも言える。

PS2.

もうちょっと平たく言えば、たとえば咳をしてうるさい人がいたとする。件の連載は、「咳がうるさい」「咳が出るのは咳を止めようとしないからだ」「止まらないのは気合が足りない」「××さんは咳を止めたそうだ」と言っているに過ぎない。必要なのは、「その咳の原因は何か」と掘り下げることであり、「その原因ならこうするべき」と提言することだ。「提言」するのであれば、もう一段掘り下げなかったら、ただのクソエントリに過ぎない。

まぁ、必死にあーゆー「反論エントリ」を書いてる姿を見ると、よほどあちこちからボコボコ言われたんだろうなと思うのだけど、そりゃー「IT系ジャーナリズム」を自称したかったら、あの掘り下げじゃ単なる「正論」だろう。