うちの会社でもデキる奴とそうでない奴がいる。年によって多少はあるが、毎年のように新人を採っている。もちろん中途も採る。中途は経験者しか来ないが、新卒はいろんな学部学科からで、特別に情報工学が専門とかに限らない。一応大卒以上ということにしているが、採る時はいろいろだったりする。
となると考えなければならないのは、「この人は弊社の環境に適合するのか」ということと「期待した働きをしてくれるのだろうか」ということである。これを外すとお互いに不幸だ。外していることに早くに気がつけば、「縁がなかったこと」にするのも早目にできるのでお互いに損失が少ないが、下手に頑張ってしまうとお互いに不幸だったりする。まぁ何にせよ、いわゆる「デキる奴」を選別しなくてはならない。
学歴は実はかなり効いて来る。一言で言えば「いい学校の奴はいい」のだ。これはまぁいい学校に入るためには、それなりに努力しないといけないとか、元々それなりに頭が良くないといけないとかということもある。しかし、それよりも重要なのは「いい学校の奴はいい学校を出たなりのプライドがある」ということだ。「自分は勝者である」というプライドは困難に当たった時に有効だ。多少難しい問題を与えた時、「勝者である俺にできないわけがない」と思って取り組むのと、「どうせ負け組の俺だからできるわけがない」と思って取り組むのとでは、当然ながら結果に差が出る。もちろんいわゆる「それなりの学校」でもデキる奴はいるし、「いい学校」でもデキない奴はいる。「上澄みと沈殿」はどこにでもある。しかし、いわゆる「存在確率」で言えば、「いい学校にはデキる奴が多い」のは確かだ。
学校の成績は、かなり参考にはなるが絶対評価は不可能だ。専門学校の成績証明と修士の成績証明を比較するなんて不可能なんだから、最初から絶対評価やそれに類することは意味がない。だから、ペーパー試験はしない。成績で見る時には、その人の成績の中で「何が得意で何が不得意か」ということを見るだけだ。これでその人のプロファイルはある程度できる。中にはありえない組合せ(たとえば数学を多用する科目の成績がいいのに数学の成績が悪いとか)があるが、その時には面接で理由を聞いたりする。
厳しいつっこみをしてみるのは、まぁ一般的な面接手法だ。弊社だと「地元企業」という顔があるため、「地元だから」でエントリする奴も少なくない。とは言え、業務内容にしても経営方針にしても、いわゆる地元企業のつもりはあまりない(地元で商売する時はそんな顔するけど)ので、あまりに地元指向の奴は困る。地元就職したいから弊社へエントリするのか、コンピュータ屋だからエントリするのか、オープンソースをやりたいからエントリするのか…ということを見極める必要がある。もっとも新卒の場合はあまりオープンソースということは知らないので、コンピュータ屋に対する忠誠度を調べるということになる。
とは言え、こういったことではいろいろ「嘘」がつける。成績は試験対策でどうとでもなるし、つっこみだっていろいろ研究して来ればどうとでもなる。また、これらの方法は「ダメなのを落とす」ことには有効であっても、「原石を拾い上げる」ということには有効ではない。弊社は原則的に終身雇用を考える会社なので、即戦力になれることはもちろん重要だが、在職中に大きく成長してもらうことが重要である。新卒がいくらデキると言っても知れているわけだから、「デキる奴になる素質のある奴」をどれだけ拾い上げるかが重要だ。
しかし、「原石」はなかなか発見できるものではない。即戦力になるかどうかは、スキルの試験をすれば良いが、「原石」は今のところスキルはない。学歴のいい奴は確かに頭がいいしプライドも高くて使えるのではあるが、だからと言って学歴のダメな奴がダメかと言えばそうでもない。部下Yのように、「とりあえず採ってみた」ような奴が大化けすることもある。
というような話を役員でしていたのだけど、「デキる奴」になった奴には、ある共通点があることを発見した。それは
デキるようになる奴は
面接の時に「いい顔」をしている
ということだ。そう。デキる素質のある奴と言うか、弊社に適合し伸びる奴は、総じて面接の時の顔がいいのだ。もちろん面接だから最初は緊張していい顔どころではないが、しばらく話しているうちにいい顔になって行く。そんな奴は入ってからも伸びて行く。大化けする奴だっている。面接の時になんとなくピンと来ない顔をしていた奴は、他のことで落としたり、入ってからもそれなりだったりする。
よく考えてみればこれは当然のことで、人間は自分に適合したものを見ると、いわゆる「目を輝かす」のだ。その「目を輝かす」様子を見て、「いい顔」だと思うのだろう。
そんなわけで、やっぱり「人は外見」であるとも感じた次第。