ブログを書く暇があったらプログラムを書け

小飼氏の外エントリ。

小飼弾「転職活動する暇があったらブログを書け」

これは彼自身の経験から書いてるのだろうけど、私の経験からは極めて否定的。→を見ればわかるように、10年以上前から実名でプロフィール晒してホームページやら雑文やら公開してるけれど、それを見てマトモな仕事が来たことは、

ただの一度もない

のだ。

とは言え、「ネットの書き物」を書くことに夢持ってる人の夢を奪ってもしょうがないし、ネガティブなことは書く方もモチベーション持てないし、そもそも小飼氏が成功体験を持っているから「そんなの意味ねーよ」なんてエントリは書かない。だいたい、ネットはネガティブな意見に流れがちだし。

ということで、個人的成功体験の方を書くと、表題のこと。

小飼氏の書いてることは、少なくとも間違ってはいない。私が採用に関わってる時は、常に「ネットにどんな文章を晒しているか」ということを見るからだ。だから、ネットに晒している文章が元でスカウトが来ることはなくても、ネットに晒している文章で評価されることはあるし、それは少なくないということは理解しておいた方がいい。

というのはいいとして本題に入れば、個人的に仕事を得るプラスとなったことは、

自作のプログラムを公開する

ということだ。「ネットに晒している文章」で仕事が来たことはないが、「公開しているプログラム」が元で仕事が来たことは少なからずあるのだ。

前の会社を作る流れになったのも、その何年も前(1992年頃のようだ)に公開していたプログラムを見た人から唐突に仕事の依頼が来て、その仕事の縁からだ。仕事の内容は結局まるっきり違うし、関わった人もだんだん変わったし、そもそもの元であった私自身も離れてしまったけれど、「公開したプログラムの縁」が元でいろいろ始まったわけだ。その後も、特に私のことをよく知らない人からは、「公開しているプログラム」が元で仕事が来たことが少なからずあった。

これは、正攻法ではまず絶対仕事をくれない、営業すら行けないようなところ(メーカが直接サポートしているようなユーザ)で特に効果があった。「公開しているプログラム」を見た「凄いお客」から、唐突にコンタクトが来る。つまり、「公開しているプログラム」は

どこにでも入り込む優秀な営業

になってくれているのだ。

しかも、そうやって来るコンタクトは、こちらが頭を下げて仕事を戴くのではなく、向こうから頭を下げて仕事をお願いして来る。もう最初から「勝ちパターン」なのだ。これは気分がいいこともさることながら、こちらの意見が通りやすいので仕事がやりやすい。「あるべき姿」も提示しやすい。

だから、私が「成功体験」を持ってお勧め出来るのは、ネットに文章を書き散らすことよりは、プログラムを書き散らすことの方だ。そうやって書き散らしたプログラムを直接あるいは間接的に宣伝紹介するために文章を書く。これが仕事に結びつく。

だから小飼氏の言ってるのは間違いじゃないんだけど、順番を間違えてはいけない。彼の言う、「誰にでも分かる言葉で自分を語れ」には、大事なステップが隠れているからだ。それは何かと言えば、、

語るべき自分の確立

だ。その「語るべき自分を表現するもの」をまず作らなければ、語りようがないのだ。私はプログラマだから「語るべき自分を表現するもの」はプログラムだったのだ。他の仕事の人は適当に自分の仕事で読み換えればいいんだが、要するにそういうこと。

だから、「語るべき自分を表現するもの」がないうちは、評論家よろしく雑文を書き散らすことは、あまり良いとは言えない。下手をすれば命取りだ。最初の方で書いたように、

ネットはネガティブに流れがち

だし、「語るべき自分」がない者は無責任に他人を批判する文章を書きがちだ。そんなもので「自分の評価」はされたくないだろ? 匿名だから構わない? それじゃあ「職」の足しにはならよね。

冒頭で「ネットの書き物で仕事は来ない」と書いてはいるけれど、それは「書き物」が終点でなかったと言うこと。私に仕事を依頼した人達は、多分私の書いた文章は読んでいる。でも、最終的に仕事を頼むかどうかは、「文章」ではなくて「プログラム」を見ての判断だったから、「プログラムの作者」への仕事の依頼になったわけだ。だから、

まずプログラムを書け。

PS.

当然のことながら、文章を書く価値を認めていないわけじゃないです。でも、始めに「語るべき自分」があって、文章はそれから。

勉強の過程を晒すことも無意味じゃないし、それは別に恥ずかしいことでもないし、それ自体が勉強にはなる。だけど、こと「仕事を得る」という意味では、それは「能力を評価してもらうためのもの」にはなっても、「引き」にはならないってこと。

晒すプログラムは、やはりスニペットではなくてプロダクトの方がいい。「仕事を得るため」だったら、仕事を依頼する側にわかりやすくなきゃ意味がないよね。

まぁネットの文章を晒すことは、直接的な仕事のためばかりじゃないから、他の目的があるなら別にこんなこと気にしなくてもいい。それこそ「書きたいから書く」で何の問題もない。ただ、戦略もなく「書きたいから書く」だけでは、直接「仕事」にはつながりにくい。プログラム晒した上で「書きたいから書く」のは、少なくとも経験的には悪い結果にはならないみたい。

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