2つ前のエントリと対なんだけど、まぁセットでは読まれない罠。実はこっちのエントリの方が書くモチベーションは高かったんだけど、ちと整理が出来なかったので後になった。
そもそもがtwitterで「この人の本はどうも上から目線なのが受けつけない」的な発言があったことから、ちと「お説教」をしたのが話の元だ。それ以前からも、どうも「上から目線」ということを極度に敬遠する人達がいたので、「それなんか違うんじゃね?」と思って、まとめようと思っていたところ。
何の背景も根拠もなく、いきなり上から目線で語り始める奴は、実は中身がないという話は既に書いた。「実るほど…」と言うつもりもないし、中身のある奴はむしろ偉そうにしてくれないと困るというのは、私がしばしばネタにすることなんだけど、かと言っていきなり知らない奴に「お前」呼ばわりとかされて話されても、「ああ、虚勢を張ってるな」とでも思えばいい。簡単に「と、わかった」とか言う奴も同じ。
とは言え、「偉い人」が目線が上からであることや、教える立場にある人から上から目線で語られるのは、むしろ当然だ。こっちは教えを乞う側なんだから、そんな人が低姿勢にされたら、むしろこっちが困る。
偉い人が上から目線なのは、こっちが下手になる必要がなくなるから、手間がかからなくていい。知識は水と同じように、高いところから低いところに流れるのだから、こっちが下にならなくても相手が上にいてくれれば、勝手に流れて来てくれる。だから、本当に中身のある人が上から目線なのはありがたい。中身のない奴がやると馬鹿にしか見えないけど。
ところが、「近頃の若いモン」は何でもフラットなのが良いと思っているのか、この「偉い人の上から目線」まで嫌う人が少なくない。こっちが傍から見ていて、「いや、その人が君に上から目線なのは当然だし」って思うような人に対してまで、「上から目線」であるという理由だけで敬遠している姿をしばしば見掛ける。いや、そりゃチョボチョボの連中の中や、何の背景もない奴等が「上から目線」にするのは馬鹿げてるけど、本当に偉い人が「上から目線」なのは、それは当然なんだしその方が楽でいいんだよ。
本当のところは、知識を得る対象の目線が上であろうが下であろうが、「学ばせて頂く」というこちらにしてみれば、そんなものはどうでもいい。何度も書くように、それだけの根拠がない奴が「上から目線」なのは滑稽なんだけど、その問題の本質は「目線」にあるわけじゃない。蛙が鳴くと雨が降るけど、蛙が鳴いて雨を降らせるわけじゃないようなもんだ。反対に目線が下からだと言って、侮って良かろうはずもなく、目線がどっちであろうと、上の人は上だし下の人は下に過ぎない。
だから、単に相手が「上から目線」であるという理由だけで敬遠するのは、いろんな意味で損をしている。
と、これはこれだけの話。別に新味はないと思う。
話の元の「拒絶していた人」は、「上から目線」で語られることによって、間違ったことも押しつけられているのではないかという疑念を感じるということで反発していたらしい。まぁ確かに世の中にはそんな人も少なくないし、教えられる側はそれが正しいかどうかをそもそも知らないから、権威だけで押しつけられても困るというのはわからんでもない。
でも、私の高々40数年の人生経験から言えば、
教えられたことは、案外正しい
ものだと言える。もちろん、全てがそうであるわけもなく、正しくないこともいっぱい教えられるのだけど、「勝率」という意味で考えれば、教えられたことのほとんどは正しく、間違っていることはごくわずかだ。また、その「間違っていること」もずっと致命的に間違ったまだということは、ほとんどなく、たいていは実害がないところにいるか、後に間違いだったということがわかる。
確かにネットには嘘も本当もあるし、「嘘を嘘と見分ける」ことは大事なスキルだと言われている。別にネットでなくても、世の中の知識には正しいこと間違ったことが混在している。そういったことから身を守ることは大事ではある。
とは言え、わざわざ教えられたことが、実は嘘だったり間違いだったりということは、経験的にはあまりない。それが元で困ったことや損をしたことは、私にはない。間違いを正さずにいつまでも正しくないことを信じ込んでいたことは、今のところなさそうだ。単にそう思い込んでいるだけなのかも知れないけど、現に損をしてないんだから実害はない。
だから、「上から目線」で押しつけられたようなことであっても、とりあえずは「正しいこと」として受け入れておいても、そうそう間違いじゃない。そういったことも含めて、過度に「上から目線」を敬遠することは成長の機会を失なうのではないかと思う。
たいていの間違いは、後から訂正しても実害はまずない。だったら、「間違いを権威で押しつけられているのではないか?」という疑念で知識吸収をしないのではなく、「まぁ間違ってるかも知れないけど覚えておこう」と考えた方が、いろいろな意味でお得である。
まぁそうやって「権威だから信じる」ということをするからこそ、役に立つ奴かどうかを判断しなきゃいけないんだけど。
PS.
何らかの立場の違いがあれば、目線の上下はあるものだと思う方が無難だ。立場が明かでない場合に勝手に上になるのは、立場がわからない自己認識の足りない奴でしかないけど。
“簡単に「と、わかった」とか”って新聞記事ですね。
そりゃ、40歳にもなったら自分が上から目線で話をする側になる事が多くなるわけだから、「上から目線で話をしても文句言うな」と言いたくなるのも分かりますよ。
どうせ世代の価値観の問題でしょ。
あなたの世代が今直面している問題について自分たちに有利な願望として書いているだけでしょ。
あなたが言いたいことを要約すると「上から目線を受け入れたほうが得だ、ソースは俺」なんて言われて誰があなたを信用しますか?
という反発をすると損だよって話ね。
聞いときゃいいんだよ。陰や後で「あいつ馬鹿」って思えばいいんだから。「とりあえず」なんだから。
一々「ソース出せ」とかやって、ソースが出るまで納得しなかったら、もし言われていることが正しかったら、ソース待ってるだけ時間のムダ。間違い教えられたって、どうせそのうち本当のことはわかるんだし、そもそもたいていは正しい。
まぁそういった反発しか出来ないから成長出来ないんだよ。
そして、その「反発」も「上から目線」だ。絵に描いたように罠にハマらなくてもいいと思うんだけどなぁ。
怪しい対象は門前払いなので数に入らないし、人間が相手次第で言動を変えることを考えれば、生越さん自身の「勝率」は平均よりも高そうですね。
平成電電に投資する生越さんとか、水にありがとうと言う生越さんは想像できませんし。
ええ。だから前のエントリは「勝率」を上げるための工夫だと思えばいいかと。
過度に他人を疑う人は、実は入口のところで解決がついていたはずの何かに騙されてたんじゃないかと思うのです。
> という反発をすると損だよって話ね。
損をしているのはあなたですよ。
なんでそんなに必死なの?
がると申します。
…ほぼ余談で大変に恐縮ですが。
> そんな人が低姿勢にされたら、むしろこっちが困る
TRPG、というゲームでなのですが。お偉いさんなのに妙に低姿勢な「裏で何考えてるのかわからない」キャラクターをやって、周囲がずいぶんと勘違いしたり警戒したりしたのをふと思い出しました(苦笑
まぁ…ある程度「この立場にいるからこれくらいの幅で態度を決めて欲しい」っていう適正な(というかイメージしやすい)態度とか言動ってあるように感じます。
無論「生来の性質柄それを外してしまう」「意図があってあえて外す」のもありなのでしょうが(で、個人的には「あえて外す」のが割合に好きなのですが(笑))。
あー確かに。
「偉い人」もそうでない人も、分相応の態度であればそれで良いわけです。
妙に腰の低い偉い人には「謙虚も過ぎれば高慢となる」と思って欲しいなぁ。