NHKのプロジェクトXは、なぜか技術者筋に評判があまり良くない。いわく、
- 無謀なプロジェクトを讃えているだけだ。プロジェクトはもっと確実に遂行できるようにすべし
- あまりに美化され過ぎている。実際はあんなもんじゃない
- オヤジどもがノスタルジーに浸っているだけだ。俺達はこれからだから過去なぞどうでもいい
等々である。
しかし、無から有を作るのだから、どれだけ周到に計画したところで「一か八か」なことはあるし、思わぬ問題は起きる。プロジェクトXの中に出て来るデスマーチを、我々の周辺で日常的に行なわれているデスマーチと同じに見るのはナンセンスだろう。無から有を作ることが思わぬ障害によってデスマーチと化してしまうことを笑う奴は、無から有を作ることをナメている。馬鹿な営業や企画のせいでデスマーチをやらされるというのとは、根本的に違うことだ。
「美化」についても、なぜ技術者の「仕事」を美化してはいけないのだ?芸能にしてもスポーツにしてもあれだけ美化されているのだ。世の中に変革をもたらすような仕事をした人が美化されていけない理由はないだろう。よく大学教授がテレビに出ると「タレント教授」みたいな陰口を言われるのであるが、それの何がいけないのだ?「タレントエンジニア」がいても良いではないか。それに憧れる子供が「僕が大きくなったら生越さん(仮名)みたいなかっこいいエンジニアになるんだ」と言ってるなんて図は、技術でしか立国できないであろう日本にとって、どれだけ力になるか。もっと美化しろ!ナイターの裏で毎日プロジェクトXをやってナイターをぶっとばせ!
同じようにオヤジがノスタルジーにひたって何が悪いのだ? 誇れるような、あるいは他人が誉めてくれるような仕事をした人が賞讃されて何が悪い。「立派なエンジニアになると、あんなふうにスポットライトが浴びれるんだ」と憧れる子供が(以下同文)。
まぁあれを批判する「エンジニア」ってのは、要するに嫉妬してるんだろうけどさ。