東京湾はなぜ危ないか

昔、ウルトラマンあたりを見ていると、なぜかだ通信装置から吐き出される紙テープを見て、さもわかったような顔をしながら「東京湾が危ない」というというシーンがあった。

その当時は「きっとあの紙にはそういったメッセージが書いてあるのだ」と思っていたのだが、後になってあれは「紙テープ」というもので、コードの穴が開いているものだと知った。となると、「何を読みにくいコードを読んでるんだ? プリンタにかけろよ」というつっこみをしたくなる。

そのさらに後になって、仕事で実際の紙テープを使うようになった。私の時代には既に紙テープは普通の場では使われず、「昔の制御機械」に情報を渡すためのものであったが、それでも「昔の制御機械」はそこそこあったので、結構いろんなところで紙テープを作った。まぁほとんどが「放送運行制御装置」のデータ入力なんだけど。

紙テープのコード系にはいろんな種類があり… って都合があって、そのどれかを知るためには機器の入力テープとコード表とにらめっこしたものだ。また、出力のテープが正しいかどうかの確認も同様だ。そうしているうちに、たいていの紙テープがそのまま読めるようになった。

もちろん紙テープ機器の周辺にはプリンタがあるので、それをプリンタにかければ印刷されるのだが、だんだんそれもかったるくなって来る。何しろ紙テープがそのまま読めるようになっているからだ。

その時に「ウルトラ警備隊」の類で紙テープをいきなり読みながら「東京湾が危ない」という理由がわかった。要するに、

いちいちプリンタにかけるのがかったるい

からなのだ。緊急事態なんだから、プリンタにかける手間も惜しいしかったるいだろう。だったら紙テープをいきなり読めばいいのだ。「だったら危ないって音声で言えよ」というつっこみもあるだろうが、あれはきっと「危ない」と判断する材料にする生データだったのだ。絶対そうに違いない。

こうして子供の頃の疑問が一つ解けたのであった。