「美しい国」

安倍首相の退陣で、そこらじゅうで非難が上がっている。

私は政治に興味がないし、彼の言う「美しい国」も興味を引くものではないし、そもそも支持する気はないのだが、この辞任だけは好評価して良いんじゃないかと思う。

世間の非難は、「あの立場、あのタイミング」に集中している。しかし、私は「あの立場、あのタイミング」だからこそ好評価だ。「あの立場、あのタイミング」でも仕事を投げ出せる。これを身を持って表したのだ。

今までの日本は、「品格」を重んじ、「意思の強さ」を求めて来た。それに疲れてしまった中高年は、自殺したり病気になったりする。それは、立場やタイミング的に、そこから逃げ出すことが許されないからだ。それが「美しい国」の姿だとさえ思われていた。

しかし、安倍首相は「あの立場、あのタイミング」でも「体調」を理由に仕事が投げ出せることを実証した。職務を全うして美しく死ぬよりも、無責任だと罵しられながらも生きることを選択した。確かに周囲に迷惑をかけてしまったのは良くないことだけど、「それでも生きる」ことを選択したのだ。理屈ではなく、タテマエでもなく、ましてや「戦後レジューム」でもない、本当の意味での

「美しい国」とは何か

を示したと言える。

「あの立場、あのタイミング」でも、「体調」を理由に投げ出せる。皮肉抜きで良いことだと思う。それとも彼を非難する人達は、「職務を全うして死ね」とでも言うつもりだろうか? それは「戦後レジューム」から脱却してない、古い価値観であるところの「国のために殉じろ」ということではなかろうか?

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