さらば@IT

ニュースサイトの類を見る時は、基本的にRSSを使っている。

自分のfeed listにないサイトに興味深い情報があった時には、RSSがないか調べ、なかったら相手にしない。そのサイトを一々見に行く時間はないし、今時RSSを配信していない「ニュースサイト」なんて、始まる前に終わっているとさえ思う。そんなところから有用な情報が出て来るはずがないし、仮に出て来ていても見落しても惜しいとは思わない。見に行く時間がムダだ。本当に有用なら、二次情報として他のサイトに現れるはずだし。

RSSの出し方はいろいろクセがあるが、タイトルしか入ってないサイトは氏ねと思う。MYCOMとかRSSの意味がわかっているのかと思う。全文入っているサイトもサイトとしてどうよと思うが、その方が便利なので個人的には文句はない。

そんなわけで、RSSは猿のように引いてるわけだが、@ITのRSSを引くことをやめてしまった。

まず、@ITでいけないのは、

・古い記事が新しいRSSに入っている

ということだ。これはaggregatorのクセにもよるのだろうが、私の使っているaggregatorは「新しく取得したRSSにあるものは新しい記事として未読とされる」という仕様になっている。そのため、RSSの中に既読のエントリの情報が入っていると、未読となってしまう。結果的に何度も同じ記事を見ることになってしまう。もちろん途中で(ほとんどはタイトルで)気がついてしまうのだが、そんなものを読み飛ばすのもコストは0ではない。

というRSSの出し方の問題もあるのだが、もっといけないのは、

・ベンダー情報垂れ流し

だということだ。

コの世界には「銀の弾丸」はまずない。だから、ほとんどの技術に関する単語はbuzz wordであり、その技術は一過性のものでしかない。単なる「流行りもの」がほとんどだ。だから、どんなに素晴しい技術であっても、眉に唾つけて見るべきだ。その技術が本当に花開くかどうかの判断はなかなか難しいのだが、単なる流行りものに時間を取られるのは馬鹿げている。となると、自分が本当に興味の対象としているもの以外は、とりあえずスルーしておいて、世間が騒ぎ始めてから手をつけるということにしてもいい。「RSSすら出さないニュースサイトはスルー」というのと、まぁ似たような判断だ。

ところが、ベンダーとしてはそういった「新技術」であっても、売らないことには商売にならない。だから、自分たちの技術こそ銀の弾丸だと喧伝しようとする。あるいは、その技術に乗って来ない人達は時代遅れだと攻撃したりする。特に「スキルつけましょう」系のサイトだと、「今時のエンジニアはこれくらいのこと知らないとエンジニアとしてどうよ」みたいなニュアンスで「新技術」を勧めて来る。

@ITはその最たるもので、「ベンダーの売りたい新技術」を「技術者の最低限のスキル」だと言わんばかりの記事を、これでもかこれでもかと出す。おまけに古い記事も新しい記事かのようにRSSを作って送りつけて来る。意地悪な見方をすれば、「サイトの総力を挙げて泡沫技術の喧伝をしている」と言えなくもない。

そういった記事であっても、読み飛ばすには判断が必要になる。RSSにもうちょっと本文が入っていたり、タイトルが工夫されていれば、読み飛ばすコストもそれ程かからないのだが、現状送られて来ているRSSはそうではない。つまり、RSSを引いている限り、そういったコストを強いられることになる。

そんなわけで、@ITはRSSを引くメリットよりもデメリットの方が大きいと判断して、RSSを引くのをやめてしまった。そんなネガティブなコストをかけるくらいなら、「デイリーポータルZ」の未読を解消する方が、息抜きになる分いい。

サイトの趣旨も、商売もわからんではないが、「鉛に銀メッキした弾丸」を「銀の弾丸」だと宣伝するのは、普通は詐欺行為と呼ばれる。まぁコの業界にはそんな詐欺は多いものだが。