商用オープンソースプロジェクトに「オフィス」は必要?

商用オープンソースプロジェクトに「オフィス」は必要?

どうもZDNetのオープンソースブログ(の翻訳)は寝言と言うか勘違いが多いような気がする。

まず、オープンソースでの開発で「オフィス」のような場がないのは、いらないからないと言うよりは、「作りようがない」からの方が大きい。そりゃ開発者があっちこっちに散らばっているし、いろんなプロジェクトに参加したりしてるわけだから、「○○課」みたいなことは難しい。だからないのであって、「不要だからない」という「判断」ではない。

元の談話をした人は「当事者」であるから、さすがにわかっていて、

同氏は拠点となるオフィスを持ちたいと言い、「開発チームの全スタッフを一堂に集められれば、すばらしい成果が上がるに違いない」と述べていた。何気ない会話や、オンラインでは決して取ることのできない言葉によらないコミュニケーションが、成長を加速するというのだ。

というように集合するメリットを挙げている。それまで分散でやっていていろいろ不都合や面倒があった結果の判断だろうから、結果として正しいかどうかは別にして、少なくとも「空論」ではないはず。

経験的にも、飯の時の雑談やら立ち話から得るインスピレーションの類は少なくない。残念なことに、ネット上のコミュニケーションは密度を求てしまうために、雑談が入ることはあまりない。いや、実際IRCの類で雑談してたりするのだけど、コミュニケーションコストが高いこともあって、ガンガン開発してる時にはそんな雑談息抜きは少なく、むしろ「やる気ねーなー」な時の現実逃避だったりする。だから、そういった「雑談」は後めたさとセットだったりする。

とか思うと、開発者が集合することはプラスになることはあってもマイナスではない。問題は集合することにかかるコストが、メリットに見合うかどうかであるが、集合するコストが相対的に高いと判断される時や人は無理して集合しなきゃいい。柔軟にやればいいだけだ。

ところが、当事者がそれなりの背景を持って言っているにも関わらず、

一箇所に従業員を押し込めて、そこから生じる悪影響を無視している企業よりも、オープンソース企業のほうがうまくバランスを取り、集団の生産性を向上させられるようになるだろう。

と結論づけている。せっかくの当事者の談話から、まるっきり別の結論を出してしまっているわけだ。とまぁそもそもここで「オープンソース企業」なんちゅー意味不明な言葉を持ち出しているのもおかしいのだが、原文もそうなっているところを見ると、この記者はそれでいいと思って書いているのだろう。

まぁその他に、「社員」が分散してしまっていると、教育訓練がやり難いとかの問題もある。世間の「おーぷんそーすぷろじぇくと」なるものは、既にそれなりのスキルのある人が参加しているから、勉強するにも自分でできるだろうが、「新人」がいる「企業」ではそうも行かない。RHKKの某社長のように「オープンソースの会社はスキルのある人を集めて来ればいいんですよ」みたいな寝言を言う人もいるが、私はどう考えてもそれは寝言に過ぎないと思う。

自分がこれから作る会社でも、「社員」が出来ればすぐにでも事務所を持ちたいと思う。それが「企業」という形態で仕事をすることのメリットを引き出すと思うからだ。

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