教会御飯(3)ラタテューユと茹で鶏

暑いとゆー季節になって来たので、何か夏っぽい感じのものを。

最初にも書いたように、「万人の口に合わせる」というのは、なかなか難しい。だいたい、季節感を出そうと思うと、

  • 季節のものを使う
  • 季節に好まれる味にする
  • 季節に求められる味にする

といったあたりになるのだけど、そこに「万人の口に合わせる」ことを制約条件に入れると、いきなり難しくなってしまう。とは言え、難しい難しいと言っててもしょうがないので、今回は「ラタテューユ」と涼味ということで考えてみた。

「涼味」ということを考えた時に、私がすぐ思うおかずは、

茹で鶏の冷やしたの

だ。作るのは簡単だし、結構ボリューム感もあるし、涼味もある。また、何しろ安い。そこでこれを中心にすることを考える。

茹で鶏は簡単なもので、お湯をわかして、塩を入れ、鶏を入れてちょっとしたら火を止めて、そのまま放置すれば良い。鶏ムネはだいたいに堅くなってしまいがちなのだけど、あまり加熱せずに余熱で火を通すことで、堅くならずに済む。

普段だと歯応えとかあると良いのだけど、「教会御飯」と言うことで、柔らか目にするために茹でる前に叩いてみた。また、鶏にありがちの「鶏臭さ」を抜くために、酒を大量に加えてみた。

まず、鍋に水と酒を1:1にして、沸かす。適当に煮立たせたら塩を入れて、味を調整する。そんなにどんどん味がつくものでもないし、薄ければ後でいくらでも加減が出来るし… ということで、塩の分量は適当に。私は海水くらいか、それなりにはっきり塩気を感じるくらいにした。水と酒が1:1というのは、単に酒をケチっているだけでもあり、そんなにいっぱい入れても大差ないとゆーことで、これまた適当に。ただ、あまり少ないと臭みが抜けないので、程々に。

ここに叩いた鶏を入れる。通常は叩く必要はないのだけど、柔らかくしたいので叩いて繊維をほぐした。家で作る場合は叩かない方がバラバラになりにくいので良いかも知れない。また、皮は取り除いた。これは好き嫌いあるので。普通に作るには、いきなり鶏を入れても構わない。個人的には、皮がムチムチになるので、こっちの方が好き。

鶏を入れると一旦温度が下がる。それが再度沸騰したくらいで火を止める。この辺もなんとなく「勘」みたいなものがあるのだけど、運ぶ都合とか考えたら、ちょっと長く火を当てていてもいいと思う。生っぽい方がおいしいと思うのだけど、それを嫌う人も少なからずいる。無難にやることを旨とする「教会御飯」では、あまり生っぽさは狙わない方が良いだろう。生っぽくしたければ、「再度沸騰」をしないで火を止めて構わない。衛生的には、60度以上が20分以上続けば、食中毒の心配はほぼなくなる。

いつもだと、これをそのまま放置して、温度が下がったところでそのまま冷蔵庫なのだけど、今回は一度に大量(2kg)に作るので、鍋を触っても平気くらいまで温度が下がったら、鶏を上げてしまう。そして、再度加熱して… という繰り返しになる。普通の鍋だと、一度に茹でるのは3枚くらいが限界だと思った方がいい。あまり多いと「再度沸騰」に時間がかかってしまう。大きな鍋にすればいいんだけど、そうなると酒が…

鶏は冷めたら、細切りにしておく。まー、別に細切りである必要性はないのだけど、程々の歯応えを維持しつつ、食べやすくしようと思うと、細切りになってしまうと思う。

さて、この鶏はどうやって味をつければ良いかが思案のしどころだ。

いつものうちだと、胡麻ダレを作ってそれをかけて食うということをするのだけど、「教会御飯」は「盛り切り」にしたいので、ちょっと難しいかなと思う。この部分は、またあらためて考えてみても良いかと思うのだけど、今回は、ラタテューユを上に載せることにした。

ラタテューユはちょうど季節の食材を使うものなので、ご馳走っぽく見えるわりにそんなに高くない。まぁ、食材によってはやたらに高いものもないわけじゃないけど、「とりあえずそれらしいもの」ということで考えれば、たかが知れている。味も酸味があって、夏向きである。

2人分の分量だと、

  • タマネギ1/4
  • ピーマン2つ
  • パブリカ 1/2

くらいの見当。これを炒めて、トマト缶を入れて煮る。トマト缶は400gのが1/3くらい。30人だと、この15倍。あくまでも目安だけど。

タマネギはクシ切りに。と言ってもそんなに厳密なものでもないので、縦半分に割って、それを横に半分に割った状態を端から5mmくらいの幅で切るくらいで良い。

ピーマンとパブリカは、半分に割って種とヘタを取り、縦に細く切ってから横に4つくらいに切る。

フライパンにオリーブオイルを入れ、まずタマネギを炒め、程々火が通ったら(透明感が変わる)、ピーマンとパブリカを入れて炒め、少しクミンを入れる。クミンは辛くなる種類のスパイスではなくて、ちょっとピリっとする程度なんだけど、入れ過ぎると妙にインドっぽくなってしまうので、ごく少量。胡椒もちょっと振って、全体を混ぜたら、塩を入れる。

塩は、後でトマトを入れるので、ちょっと辛いかなってくらい入れても構わない。まー、限度はあるけど。

塩を入れると、汁気が出て来るので、「ビチャビチャ」という感じがなくなるまで炒める。

この状態のものを冷ましておいて、運ぶ。これが一番輸送が楽になる。

現場ではこの炒めたものを鍋に移し、ちょっと火をかけたところで、トマト缶を入れる。味をみて、「そのまま食うにはちょっと辛いかな」くらいを目安に、塩分を調整する。ここでちょうど良くしてしまうと、「おかず」にならない。まぁ、あまり辛くしてもおいしくないけど。

盛る時には、御飯の上に鶏を散らして、その上にラタテューユもどきをぶっかける。

御飯は熱く、鶏は冷たく、ラタテューユは熱く… とやると、ちょっと手間かけたかなという感じになる。別に鶏が熱くても、ラタテューユが冷たくてもいいし、ラタテューユの冷たいのは好きなんだけど、全部が冷たいと御飯としてどうよという感じでもあるし、鶏に熱加えると煮え過ぎちゃう。まぁ、この辺は好みで良いのだけど。

これに漬物もつけたのだけど、それは別エントリにて。