「起業」って、もっとカジュアルなものではないか?

就職がない学生へとか、学生起業の勧めとかの声がある。

それとは逆に「起業ってそんなに甘くはないんだぜ」って声もある。

どっちも一理あるのだけど、私は

そんなに大袈裟に考えなくてもいいんじゃね?

って思っている。

私の子供の頃、友達の親には自営業が多かった。田舎で働き口があまりなかったせいかも知れないが、あまり会社勤めの父親とかいなかった。海の近くで、わりと平地もあるところだったので、漁師や農家って結構あったし、そういった小さな町でも街はあったので、それなりに商店があった。小学生の頃に「大きくなったら何になりたいですか」という質問に、

親の後を継いで(ry

というフレーズが結構あった。まぁ子供だから「親の後を継いで」とゆーフレーズを言ってみたかったとゆーのもあるんだろうけど、そういったことを言える程度には、自営業の親は多かった。ちなみに、うちの親は公務員(郵便局)だったので、そういったフレーズと無縁だったので、微妙に寂しかった。

最近、うちの父親がその地元あたりの戦後すぐの頃の生活をまとめた書き物を書いているようなのだけど、会社勤めの人の話は出て来ない。そんなのがないくらいの田舎なんだから。

もっと時代を遡れば、もっと都会でも「勤め人」は少なく、自営業が多いということになると思う。つまり、かつては、「勤め人」の方が少なかったのだ。

私の田舎の話だとピンと来ない人は、おとぎ話やら童話、あるいはRPGの時代を想像してみてくれ。

その当時、「自営業」をやっていた人達が、今日語られるような

大袈裟なこと

を考えていたとは考えにくい。なんとなく親がやっていたとか、親戚から商材を与えられたとか、そういった類の理由であって、

起業していずれ株式公開

みたいなことは考えてなかったはずだ。

また、「起業家」も卓越したビジネスセンスとか、常識的な社会常識とか持っていたわけではない。落語では「与太郎」が商売を始める噺なんてぇのがある。「馬鹿キャラ」の「与太郎」ですら商売をするわけだ。まぁ、結果はもちろんそれなりになるのだけど、大家(御隠居の場合もある)の「ちゃんと仕事しろぃ」というところで、丁稚に行かせるのではなくて、「起業」させるのだ。

大企業に勤めてスキルアップ

とかなんてのもなかったはずだ。大店(おおたな)の番頭が暖簾分けで… ってのはあっただろうけど。

つまり、今日、「起業なんてそう易々とするもんじゃないよ」的なことは、当時はまるで考えられてなかったわけだ。むしろ、

働く = 起業

くらいの勢いだったはずだ。

もちろんそれは「今日」の話ではなく、「かつて」の話に過ぎない。経済は今ほど発達してなかったし、流通も然り。つまり、「企業」というものが活動しにくい時代だったから、「自営業」が成立していたとも言える。

とは言え、「起業なんてそう易々とするもんじゃないよ」的なことの中で語られる、「ビジネスへの理解」だとか「社会常識」だとか「スキル」といったものが凄く違うかと言えば、実はそんなに大差ないように思える。ないわけじゃないだろうが、「経済環境」の変化ほどは大きくはない。

別の見方をすれば、「経済環境」が当時と大差ない領域があるなら、「起業」はそんなにたいそうなものではなくなるとも言える。「経済」とか「流通」に深く依存してない、あるいはそれらがハンディとならない世界であれば、カジュアルに起業しても良いってことになる。

TwitterやFacebookと連携して、ちょっとしたことをやる他愛のないアプリで小銭稼ぐとか、

近所の商店街のECサイトの代行とか、

高齢者世帯のための便利屋だとか、

趣味で作り過ぎてしまったものを通販するとか、

といった類のことであれば、別に「ビジネスへの理解」が凄く必要なわけでもないし、「社会常識」や「スキル」なんてのはやってるうちに身につくわけだから、ことさらにハードルが高いわけじゃない。もちろん「ビジネス」なんだから、甘いもんじゃないけれど、「たいそうなこと」ではない。

目の向け方や考え方をちょっと変えるだけで、やれることはたくさんあるし、いろんな事情による「ハンディ」も小さいものはたくさんある。むしろ、

あれもやりたい、
これも出来そう

とか思えて来るものがいっぱいある。もちろんそれは「ビジネス」なんだから(ry

なんでもそうなんだけど、「ラスト・ワンマイル」を埋めるにはもの凄い資本か、物凄い手間がかかるものなんだけど、個々はどうってことないものだったりする。そこに「自営業」の入れる場所がある。そのことを思えば、「カジュアルな起業」でその辺を埋めて行けば、いろんな人が幸せになれると思うのだが。

PS.

はてブ見たら、「10日で潰れそうな個人事業主より10年持ちそうなサラリーマン」とか言ってるのいたけど、「10日で潰れそうな個人事業主」は10日を11日にも1年にもすることは、自分の努力で可能だ。ところが、「10年」持つことが保証されている会社なんて、今の日本にはそうそうない。また、「10年持ちそうな会社」が仮にあったとして、そこで個人が頑張っても「10年」を伸ばすことは、経営者であっても難しい。

会社は、倒産するときなにを選ぶべきだったのか。

当時の役員も別会社をつくり、そこで成功している。

何気ない一文かも知れないけど、これが意味するところは大きい。

もちろんビジネスだから甘いことはない。「起業」って言っても周囲から金集めて… なんてたいそうなことじゃない。せいぜい「与太郎」の起業のレベルでいいのだ。

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This entry was posted on3月 4th, 2012 at 15:38:33. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0. Responses are currently closed, but you can Trackback..

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