デジタル移行お疲れ様でした

ネタ記事は書いたんで、マジメに。

地上波テレビ放送、完全デジタル移行が無事出来たことで、関係者の皆様にお疲れ様でしたと言いたい。

私はその「お疲れ様」のあまりのデカさにビビってしまって業界を離れたということもあるので、関係者の苦労は想像の域を出ない。でも、無関係者よりは、具体的なイメージがわく。それを思うと、本当にお疲れ様と言いたい。

ご存知のように、テレビ放送の置かれている現状は厳しい。外からいろいろ非難することは出来るのだが、その厳しさはつまるところ、

メディアの多様化

ということに尽きる。「一家団欒の中心にテレビがある」とゆー、40年くらい続いた習慣は、それがもはや存在していないということでも想像がつくと思う。仕事で忙しくってテレビなんて… って人だけじゃなくて、暇な人もテレビで暇を潰すということは、昔ほどではなくなった。テレビの画面は見てても、中身はゲームだったりする。「水戸黄門」が視聴率10%切れて打ち切りとか思えば、その辺わかるんじゃないかと思う。

水戸黄門、視聴率低迷…もはやこれまで

お陰で、テレビ局は売上が相対的に下がる。地デジ化の計画が出たのは、バブルが崩壊して、広告売上が下がり始めた頃だ。家電屋にとっては、特需かも知れないが、広告売上が下がり始めたテレビ屋にとっては、恐怖でしかない。

最初は方式すら定まってない状態で、「地上波テレビをデジタル化する」という方針だけ決まっていた。私の記憶に間違いがなければ(って調べりゃわかるかもだけど)、方式すら定まってないのに、期限だけは決まってたように思う。

これはよく考えれば、とっても大変なことで、「そのうちなくなる」ということがわかっているアナログ放送のための設備増強は、凍結されることになる。山間地の多い局は、とにかくサテライト局を作らなきゃいけない作り続けるという状態にあるにも関わらず、設備増強はなるべくしたくない。板ばさみになる。

スタジオ関係の設備だって、「耐用年数が来たら更新」が当然なところに、「デジタル化」があるものだから、アナログ専用の設備は更新が困難になる。かと言ってアナログ専用設備がすぐいらなくなるわけではないから、当面は両対応だ。とは言え、「移行期間」にはまだ地デジ放送は始まってない時期もあるから、しばらくは

持ち腐れ

状態の機器が増えることになる。アナログ専用の機器が故障した時も、修理しないわけには行かない。おそらくは「もったいないなぁ」と思いながら修理に出していたはずだ。

それでなくても、テレビの売上はどんどん低落して行く。その中で設備を二重に維持運用しなきゃいけない。「維持運用」だけではなく、「新設」もしなきゃいけない。そういった環境の中で「もったいないなぁ」と思いながら修理に出したりするとか、気の毒としか言いようがない。

10年あまりの移行期間の間、地上波のテレビ局は設備を二重に維持運用をし、さらに設備を作っていた。その間にテレビというメディアには逆風が吹きまくる。そういった環境で、特に大過もなく無事デジタル完全移行までこぎつけたのだ。放送に直接携わってる人はもちろんのこと、間接業務の人達やバイトに至るまで、

(うちの会社)大丈夫か?

と思いながらの移行だったのだ。まぁ思ってなかった奴もいっぱいいるかも知れないけれど、労使交渉をし給料袋を見れば嫌でも感じるはずだ。もちろん大量の国費も投入され、そのことの是非はあるにせよ。それだけで済む問題ではない。

地デジ化が完了したところで、テレビの逆風がなくなるわけではない。メディアはさらに多様化するだろうし、そうなると相対的な地位はどんどん下がる。業界関係者はより一層の努力が必要になるだろうけど、逆風が吹いてるんだから、なかなか厳しいことには変わりはない。

とは言え、無事地デジ化は完了した。様々な苦労とストレスの中にあった大作業は無事終わった。明日からはまた新しい戦いがあるのだろうけど、とりあえず今は

移行お疲れ様でした

と言っておきたい。