冨田勲「惑星」ULTIMATE EDITION

あんまりこの手の感想は書かないんだけど、それなりに思い入れがあるので。

実は冨田勲は好きで… って、この年代で技術系な仕事してる奴で嫌いな奴なんかいないだろ。異論は認めない。そう言えば、前にも「冨田勲の惑星」で1エントリ書いてた。

著作権延長論者は「惑星」を聞け

初めて聞いたのは、中3の音楽の時間だったと思う。

中3の時の音楽の先生がなぜか授業の時にかけてくれたのが、初めて。後にちゃんと聞きたくて自分でLPを買った。その時のライナーノーツは、糸川英夫が書いてたと覚えてる。

「シンセサイザー」なんてものでこういったことが出来ることとかいろいろ衝撃的だったということもそうだけど、ライナーノーツが糸川先生ってのが面白かった。糸川さんは飛行機とかの研究が出来なくて、ロケットの研究を始めるまでの間は、なぜだかシンセサイザーみたいなものを研究していたらしい。

冨田氏は糸川先生の設計した「隼」とかに憧れていたという類のことが書かれていた。つまり、相互にファンだったとか。

ちょっと前まで「惑星」には「冥王星」とゆーオマケがついてるのが流行った。元の「惑星」は時代的な関係で冥王星がなかったから、そーゆーのをつけ加えたのがあるわけだ。

まぁ、冥王星が惑星でなくなったので、これから先演奏されるかどうかは微妙だけど。

で、冨田勲の新版の「惑星」のオマケは「冥王星」でなくて、「イトカワとはやぶさ」だ。

ちょうど1年前に「はやぶさ」が帰って来たよねーってことで、「日本」でつけ加えるには、当然これでしょってのあるとして、それ以上にあるのが、

冨田勲と糸川英夫の関係

だと思う。

その辺はやはりライナーノーツに書かれている。憤ることも書かれているので、その辺も読むといい。

内容なんだけど、最初の「惑星」と大きな違いはない。違うと言えば違うし、違わないと言えば違わない。まぁその違いは、

TOSとTNGの違い

だと思えばいい。「そんなに違うのか」と言えばそうだし、「その程度の違いか」と言ってもそう。基本プロットは同じ。じゃあ音源流用かと言えば、そんなことはなくって、リメイクらしい。まーそりゃ同じ曲を同じ人がアレンジするんだし、元と無関係なものを作ってもしょうがないし、かと言って30年以上たってるわけだし。まぁそんな違い。アレンジはもうちょっと大胆。全体の尺はちょっと伸びたけど、イントロのあたりや、「木星」と「土星」の間にあった冗長な感じ(とか言うと怒られるかな)のところもないので、ダレることもない。

「イトカワとはやぶさ」については、「まぁこうなるよね」みたいな納得感。これを入れたことに賛否はあるのだろうけど、入れたこと自体を否定しないんであれば、「これでいいんじゃね?」と納得するもの。

実はLPで買った「惑星」は倅に傷だらけにされて聞けなくなったので、CD版のを買ったことがある。

この時は非常に残念な出来だった。デジタルのクリップを恐れて全体にレベルが低くて迫力に欠けるものだった。その当時書いてた連載にそのことを書いたのだけど、さすがに現代の「惑星」はそんな残念なことにはなっていない。

あと、前作までは木星と土星がつながっていたのだけど、この間に「イトカワとはやぶさ」が入ったこともあって、明確に切れている(無理やり切ることにならない)。だから、「木星だけ聞く」ということをしても違和感がない。「イトカワ」の軌道的には、「木星」の前の方が良かった気もするけど、元々「惑星」は軌道の順じゃないし。

ことさら「昔の思い入れ」とかない人でも、「惑星」が好きならコレクションに入れておいて良いと思う。んー、何枚目の「惑星」だっけかw