成功しているプロジェクト費におけるピーターの法則

「はやぶさ」の話で思い出したけど、直接は関係ない。むしろ、某プロジェクト–つまり、我が身のこと。

定期的に予算見直しがあるプロジェクトがつつがなく成功している場合、

プロジェクト費はプロジェクトが続行不可能になるまで削られる

という法則があるようだ。

某プロジェクトは、医療ネットワーク化のプロジェクトでは、日本でほぼ唯一の成功したプロジェクトと言っても過言ではない。多くのこの手のプロジェクトは、誰が主導であったかに関係なく、「やった」というだけだったり、せいぜい市町村規模であったりで、これ程の規模でそれなりの正解を出したものはない。

このプロジェクトはかれこれ10年以上やっているのだが、ごく初期を除けば年々予算が削られている。まぁ、このプロジェクトが「ものづくり」であるなら、一度完成してしまえば、後は維持運用ということになり、開発費が削られるのは、ある意味妥当ではある。

実はこのプロジェクトが成功した秘訣は、

予算が潤沢ではない

ことにあると思っている。予算があまりあるとついいろいろ欲張ってしまって、収拾のつかない規模になってしまったり、いきなり大きなものを作ってしまう。その結果、利用者を置いてけぼりにしまいかねない。実際、他の「失敗したプロジェクト」を見ると、規模と比較してとんでもなく大きな予算をかけているものが少なくない。少ない予算で、規模をあまり大きくしないで、ゆっくりと進めて行くのは、こういったシステムには都合が良い。時間はかかるけど。

というのは良いのだが、最近とみに感じるのは

予算を削るのが当然

になってしまっているということ。もちろん「削るのが当然」の部分があることは否定しないのだが、「始めに削減ありき」になっているということ。さらにその削り方も、

去年無事出来たんだから、
今年はもっと頑張ればもっと削れるよね

的な理由だ。つまりまぁ、

失敗しなかった罰に削られる

ようなもの。削っても特に失敗らしい失敗はなかった(見えなかった)から、もっと削っても大丈夫だろうとゆーことらしい。そりゃ失敗なんて誰でもしたくないから、無理やり頑張ってしまうのは、普通の日本の技術者は当然で、自腹切ってでも失敗方向のことはしないもんだ。その結果、ますます削られてしまう。

確かにこの手のプロジェクトの場合、「新しく作る」部分は減って行くのは当然である。しかし、規模が大きくなればちょっとした改良でも手間がかかるし、サポートの人達の手間は増える一方だ。また、適当なところで大規模な改修をしないと、システムが硬直化してしまう。もうかれこれ10年なんだから、プロジェクトのスキーム自体を見直してもおかしくない。100歩譲ってプロジェクトが縮小方向だってのを許容するにしても、「いつ、何を、どれくらい」縮小するのかってことが提示されないと、予定の立てようがない。このまま行けば、ピーターの法則よろしく、プロジェクト続行不可能になるまで削られて行くだろう。

まぁ、こちらは「自活」を求められているんで、続行不可能になれば抜けてしまえばいいだけで、何も困らない。つーか、困るわけには行かない。「外注」として関わっているところはみんなそうだろう。儲かるどころか、足の出るプロジェクトに関わっててもしょうがないし。

と言えば、まだ前の会社にいる時に、「競争入札にする」とか言い出した役員がいたそうで、その時に

「どうぞどうぞ。3倍の金額で札入れて落札しますから」

と言ったことがあるな。随分前のことだけど、その当時からその程度の予算だったのだ。残念ながら、競争入札にはならなかったけどw

というのは、某プロジェクトの話なんだけど、わりと身に覚えのある人は多いんじゃない? まぁ、「はやぶさ」のように「見せ場」を作っておけば良いのかも知れないけど、某プロジェクトに何度かあった「見せ場」は、

解決して当然

みたいな扱いだったんだよね。

当然のことながら、プロジェクトがコケて困るのは「外注」ではない。「外注」ってのは、しょせん外部なんで、仕事がなくなれば次の仕事を探すまでだ。まぁ、この景気だから簡単じゃないけど、「自活」しなきゃいけない。で、そうなった時、内部に強力な技術者がいれば、「外注なんてパーツに過ぎない」でいいんだけど、そうでない場合は、「重要なピースは外注が持ってる」ことになってしまっている。そして、「外注」は金にならないと判断したら、「重要なピース」を持っていても消えてしまう。

まぁ、「外注」としてはどーでもいーことなんだが…

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