良けりゃ良いってもんじゃない

radiko.jpなるサービスが始まった。

radiko.jp

今さら説明の必要はないと思うのだけど、これは民放ラジオのストリーミングサービス。ネットさえあればラジオが聞ける。TVはうっとおしいと思っている向きには、良いサービスだ。仕事のBGMとか便利でいい。


このサービス、まだいろいろな制約があるのが面倒なのだけど、これが解決するのは、時間の問題だろう。ネットを使っておきながら、エリア制限とか馬鹿としか思えないけど、逆にそうであるが故に解決されるんじゃないかと思っている。ガキの頃は「オールナイトニッポン」を聞くために、必死にチューニングしたんだよ。「エリア外」から聞くなんてラジオじゃ当然だからね。

混信やフェージングがないってのは、実にいい。まー、都内にいてラジオが混信やフェージングにまみれるってことは、そうそうないことではあるけど。高周波技術なしにラジオが聞けるのは、楽でもありつまらなくもあり。まぁラジオ放送がなくなったわけじゃないから、楽しむためにはラジオ作ればいいだけってのは、地デジと違っていい。

ってのはいいんだけど、しばらくradiko.jpを聞いていて思ったのは、

音が良過ぎる

という問題。混信やフェージングがないのはいいんだけど、AM放送とか音が良過ぎる。これがちょっと良くないのだ。

「AM放送の音」ってのは、実は加工されまくりの音だ。これはAMという電波の特性とか、ラジオ放送というものの置かれた立場とか、そういったものの結果だ。この辺ちゃんと説明すると長く難解だったりするのだけど、早い話が、

放送で音声が明瞭に聞こえる

ように加工されているわけだ。明瞭で、それでいて耳に刺さらないような、そんな音質に加工されている。逆に音楽を聞くには向いていないけど、たとえば歌詞とかはよくわかる。

ところが、radiko.jpの音は

FM並の音声

で流れて来る。てゆーか、番組とか放送局を知らないと、FMの局なのかAMの局なのか、よくわからなかったりする。それくらい音質がいい。

確かに「良けりゃ良い」って考えなら、「AM局もFM並の音質で!」とかってことになるんだけど、個人的にはこれはあまり良くない。

この辺のことは以前も書いているので、繰り返しになってしまうのだけど、「ラジオ」ということだと、この「FM並の音質」は邪魔になってしまう。この音質は「watching」を要求してしまう音だ。ながらで聞いているラジオだったら「hearing」でいい。だらだらと流して聞いて、気になることだけを選択する。それくらいがラジオにはちょうどいい。

「そんなことなら放送に要求しないでローカルでやれよ」って声は当然あると思う。でも、あのAMラジオの音の絶妙さってのは、なかなか再現出来るもんじゃないんだよ。出来れば、送出の方で「電波に出しているのと同じ音」にしたものして欲しい。多分、通信帯域もその方が少なくて済む。あるいは、「そういった音」にするためのエフェクタを持った、専用クライアントとかあると良いなーと思う。

そういった「AMラジオ放送特有の音」なんてのは、世間的には「悪い音」だから、後からそうするのは難しいんだよなぁ。

PS.

実際のAM電波は、こういった機材を使って信号処理をしている。


何をやっているかは説明を読んでみるとわかるのだけど、単純なイコライズではない。

良けりゃ良いってもんじゃない” への4件のコメント

  1. そこで REAL Audio 復活ですよ。
    ビットレートを落としまくればサーバーの負担も軽くなるしw
    ダメ? (-ω-)

  2.  音楽制作ソフトのオーディオプラグインでカセットテープのシミュレータなどありますからAM放送の雰囲気を出すことも可能じゃないかなと思います。技術的にどうすればいいかと言うのはわかりませんが。
     
     ちょっと思いついたのですが、デジタル技術で音の奥行き(ディレイ)とかパンを工夫して、聴覚上の音の位置を設定出来るようになれば面白いかなと思いました。
     左側3m向こうと右のほう5m先で二つの異なる放送を同時にならすことで同時に視聴出来る。どちらを聴くかは自分の脳味噌で切り替える。
     3局くらいまでなら聖徳太子じゃなくても脳内でザッピングしながら番組を楽しめるんじゃないでしょうか?

  3. あの独特の音は周波数帯域の狭さと、コンプレッサにあると思うので、その辺をうまくシミュレートしてやれば良いんだろうとは思います。

    定位いじらなくても、多分混ぜるだけでもそれなりにわかるのが人間って気がする。まぁ、定位でソース分けてあると、それはそれでいいんだろうけど。

    結局、自分でクライアント書けってことになるかなぁ。

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