同志達よ、おまえらどこに消えた?

吉岡さんのエントリ

40代、50代の人たちはなぜ表現しないのか

このことは、かなり前から気になっていた。それも「表現」だけではなく、「行動」もそうだしビジネスもそうだ。

まぁ「コミュニティ活動」は40歳くらいで定年した方がいいと思ってはいるんだけど、「行動」はそれだけじゃないし、ビジネスだってそうだ。

私がインターネットに関わりを持つようになったのは、15年くらい前だと思う。ちょうどIIJが創業するちょっと前くらい。だから、まだプロバイダなんてものは日本になかったと言ってもいい頃だ。その頃のインターネットの遊戯と言えば、

ネットニュース

が中心だった。「うさげ」あたりで「ネットアイドル」がいじられていた。当時の「ネットアイドル」は「ネット顔出ししてる女の子」という意味ではなく、「ネットニュースでアイドルのようにみんなが知ってる、ある種のフダのついた人」という意味だった。言動のイタい人、ひたすら真っ直ぐ過ぎてウザい人、なんか訳のわからない「芸風」の人、まぁいろいろな個性がそこにあった。

また、そんな表舞台に出た人ばかりではなく、「NSPIXPに住んでいる人」とか、「WIDEのおもりをしている人」とか、技術的にも経験的にも凄い人達がいた。あるいは、まだプロバイダが業務を始める前に、自前でネットワークを構築している猛者もいた。あるいは、「商用UNIXにバイナリパッチを当ててディスク増設をしてしまう」ようなハッカーもいた。

時代は下がり、ネットが一般的になってネットバブルの時代になって、そういった人達はほとんどいなくなっていた。もちろん時代に合った新しい「スター」は産まれた。しかし、彼等は前の時代では「インターネット? 何それ?」だった人達が主だった。まぁせいぜい高橋徹さんくらいが前の時代からいた人か? あちこちに出て来る村井純さんや先日亡くなられた石田晴久さんとかとゆー、アカデミックな人達がそういった会社の「顧問」だったりとか、せいぜいその程度。「凄いハッカー」達が活躍していたとか、炎上の中から産まれて来たような「ネットアイドル」達が名を上げたとか、そんなことはなかった。

それからさらに時代が下がり、ネットバブル崩壊後「Web 2.0時代(笑)」になって、またネットがもてはやされる時代になった。それでも、そういった「凄いハッカー」も「ネットアイドル」もいなかった。それどこか、ネットバブル時代の人達もほとんど残っていない。

「いない」のは、コミュニティ活動的にも、ビジネスマンとしても、さらには「遊戯」としても「いない」のだ。せいぜい、voidさんがパソコン通信~mixiくらいまでついて来たくらいか。他の「ネットアイドル」達はどこかに消えてしまっている。彼等のブログがあるんだろうか? 「あるふぁぶろがー」の中にはいないけど。

「消えてしまっている」と言っても、彼等はそんなに年ではない。「ネットニュース」の時代は私よりちょっと上からちょっと下くらい(つまり40代)だし、その後Linuxの黎明期の頃の人達は私よりも10くらい若い(つまり30代後半)。多分、まだ彼等のほとんどは生きている。みんな他の業界に行ったとも思えないし、ネットはコモディティなのだから、彼等をネットが避けているわけでもない。でも、彼等が凄いブログを書いているとかも知らないし、凄い仕事をしてるということも聞かない。あれだけネットで「のさばって」いた人達は、まるで憑きものが落ちたかのように、姿を見せない。

彼等が語るべきものがないとは思えない。また、彼等が完全に引退してしまったとも思えない。彼等は目立つ行動もしなくなったし、発言もしなくなった。単にそれだけだ。「もう若くないさ」という言い訳が聞こえて来るような気がしないわけでもないが、たいていの人達は私よりも若いのだ。まだまだ「引退」なんてする歳ではないはずだ。

確かに、古い常識のままで、業界で老害を垂れ流されるのは勘弁だ。でも、まだ老害という歳でもなく、老骨という歳でもない。「老兵は消え去るのみ」も美学かも知れないが、まだそんな歳ではないはずだ。「若い頃」あれだけデカい口を叩いていたおまえらどこに行った? それとも、あれは単なる「若気の至り」だったのか?

PS.

吉岡さんが元エントリのコメントやらブコメやら分類していた。それをtwitterで読む限り、例によって上から目線の「奴等がダメ」的なものが多いようだ。でもな。その「消えてしまった奴等」がまだ若かった頃、やっぱり同じようなことを言ってたことは覚えておいていい。今の団塊くらいの上司や教授達を、「要するに年寄はダメだね」的なことを言ってたのが彼等だ。いいか、若者達。これは

明日のおまえらの姿

かも知れないんだぜwwwwwww

PS2.

この問題、「ネット遊び」だけじゃなくて、「ビジネス」もそうなんだよね。やれば出来る能力や、経験があるはずの人達が、日々に埋没するようになってしまった。これに「だから日本の会社は」的なことを言うのはナンセンスだ。個人の生き方の問題なんだから。

あらためてよく探してみたんだけど、昔の友人知人のブログがないわけじゃない。でも、妙な年寄になって金や能力のある若者に嫉妬したようなエントリ書いてたり、「あんたはそれ詳しくないでしょ。6hotだから炎上しなくていいだろうけど」なこと書いてたり。「若い頃」の鋭さはとっくに失なっていた。私よりも若いのに、「老害エントリ」や「老害コメント」書いてたり。もっと前見て活動する場はあるはずなのに。

同志達よ、おまえらどこに消えた?” への7件のコメント

  1. ピンバック: Junnama Online (Mirror)

  2. >TB

    「知ってる奴」がいないんですよ。だいたいに昔の人達はコテハンだったり、わかりやすい名前だったりするのだけど、そいつらがいない。

  3. アクティブな方って、よっぽど矜持がないとコテハンのままでやっていないのでは? まぁ、文章書いて売っているような人は別ですが。
    割と匿名に逃げている? 様な気がします。そのほうが楽だし。
    void氏なんかはマメだし、一々相手ができるのでしょうが、日々の生活に埋もれると1対多数の相手は疲れるでしょう。そんな事ができる年齢層ってのもあるのかも。

  4. できた環境で育った奴らと、できた環境に永遠に入らない人がほとんどだから、環境作る/作った人の話を聞きたい人がいないんじゃない?
     団塊と違って、話聴いてもらえないこの世代の人たちはバブル崩壊のときとITバブル崩壊のときに会社捨てたり、会社に捨てられたり、会社ごと捨てられたり。官僚でも同じか。
     以前と同じポジションで話できるポジションに居る人は5%いるのかなぁ?

  5. 「ネットアイドル」を続けろって言う気はないんですよ。やってもいいけど。

    でも、それなりの地位や能力を誇示してた人達が、時代がちょっと変わっただけでだんまりなのがいけないのです。

    非凡だったのは、若いうちだけか?

  6. ピンバック: 未来のいつか/hyoshiokの日記

  7. junetではいろんなことを学ばせて(笑)もらいました。voidさん、懐かしいですね。
    商用ISPがでてきて、ネットの裾野が拡大してきて、自分的には面白みが失せた、というのもあるかな。。。あと、自身の興味の対象が変わったというのもあるかも。。。
    知り合いだと結構bignameになってしまった人たちもいるし、当時とは別の芸名で活動している人もいたり。

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