そんなことで辞めるべきだったら、私はとっくに辞めている

多分、twitter経由だと思うんだが、

あなたがプログラマを辞めるべき7つの兆候

個別のことにはうなづきながら、「こんなことで辞めるくらいだったら、私はとっくに辞めてるよな」とも思う。

もちろん個々の問いかけの一つ一つは、「そうなったら確かにヤバいよ」と思う。

  • どれだけ騙され続けようと、新技術に興味を失なったら「緩慢な死」が待っている業界だし、
  • 時間に対する余裕、精神的な余裕がなくなるような仕事なんて、やり続けたらヤバいことになっちゃうし、
  • 他人にちょっかい出す暇に、自分の仕事をまず片付けるべきだし、
  • 精神的に追い詰められたら、プログラマに限らずどんな仕事でもヤバいし、
  • 自信をなくしちゃったら、何やっても負け思考になっちゃうし、
  • 「でもしか」で仕事続けるなんて不幸だし、

金のために、嫌になってモチベーションもわかなくなった仕事を、精神を傷つけながらするのは、確かにヤバい。

それは確かにそうだと思うし、件の文章を書いた人はそれなりに誠実に書いてるんだと思うけど、あえて言おう

むしろ邪魔

だと。

もちろん、たまにこのチェックシートを見て内省してみるのはいいと思う。ここのあてはまる状態ってのはいろいろヤバいから、注意した方がいい。でも、だからと言って「辞めるべき」だとは思わない。嫌、このチェックシートを肯定するからこそ、辞めるべきだと思わない。

なぜなら、人や人生には常に

山があり谷がある

ものだ。調子のいい時、元気な時、テンションの高い時には肯定的な状態になり、調子の悪い時、元気のない時、やる気の落ちている時には否定的な状態になる。これは、良いとか悪いとかというもんじゃなくて、「そんなもの」なのだ。それが人間と言うものであり、人生というものだ。そういう「強いところも弱いところもある」のは当然だから、そういったものといかにうまく付き合って行くかを考えるべきだ。

これは私が「成果主義」を否定するのと同じ理屈だ。肯定的な状態にある時に良い評価を受けるのは良いことだ。でも、人は常に肯定的な状態にあるわけじゃない。もちろん、そうならないように頑張ることも大事だ。だけど、そうやって頑張ってたってそうなってしまうものでもある。吸った息は吐かなきゃいけないのと同じだ。一種の「保存則」があると思ったっていい。

頑張るのは悪くない、たいていは良いことだ。だけど、頑張れない時に頑張るのは、むしろ有害だ。「頑張らなきゃ」と思い続けるのは良いことだけど、頑張ってもどうしようもない時に「頑張らなきゃ」と思うのは、頑張れない自分を責めていることと同じだ。プラスの時だけを評価する「成果主義」は、そういった「頑張れない時がある自分」を否定してしまう。実はコの業界人の「鬱病」の何割かって、そんなものが原因じゃないかと思っているくらいだ。

だから、件の「チェックリスト」を見て「俺ヤバい」と思うのはいい。だけど、そこで辞めるべきことは、仕事じゃなくて

頑張ること

だ。成果成果と自分を追い詰めても、何も出ない時は何も出ないもんだ。気にするこたーない。休め!

PS.

帆立貝柱(仮名)さんに、「わかるけど、なかなか無理っすよ。」とか書かれてしまった。いや、そりゃまぁなんだかんだで誰もそう簡単じゃないってのはわかるんだけど、それでもやっぱり休むべきだ。それも、壊れてしまう前に。

だって、「休んで元気にはなったけどクビになってしまった人」は雇う余地があるが、「休まないで壊れてしまった人」は雇う余地がないけど多分いずれクビだ。前者はまだ戦う元気もあるだろうが、後者は結局休むことになってしまう。それだったら、壊れる前に休んでしまう方がずっと得だ。とか言いながら、私はそれが出来なかったから「似非マッチョ」になってしまったわけだけど。

それに、

いっそのこともうこの業界以外で仕事してみようかな
という気分になってしまうのだ。

とかって言ってるけど、「実績を築いた業界から脱落した人」が「実績のまるでない業界」に転職して前よりマシになるほど、「他の業界」は甘くないと思う。築いた実績をチャラにしてこれから頑張るんだって歳なら、そういった考えも悪くないと思うけど。

そんなことで辞めるべきだったら、私はとっくに辞めている” への5件のコメント

  1. リンク先の文章
    なんかどこかで読んだような悲観的かつ自虐的な文章と思ったら
    「素晴らしきこの世界」の人でしたか。
    まだコの業界にいたんですね。
    とっくに辞めたと思ってたんですが。

  2. > まだコの業界にいた

    コの業界、三日やると辞められない。でも、三日休むと二度とやるかと思ってしまうw

    > 五項目マッチ

    私、過去も含めると全項目マッチですが。

  3. まさか反応あると思わなかったので動揺してます。
    今いる業界以外に行くなら、もちろん最初からやりなおしの覚悟ですが、今のところ「してみよっかなー」という気分にたまーになる程度なのでした。

  4. 十分若ければ(絶対値じゃない)、あるいは他に取り柄があるんだったらそれも悪くはないと思いますがね。

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