「ありがとう」の窓口

10万円の高級炊飯器を売る(2)

まー、ありがちの苦労話… とか書いてしまってはいけないのだろうけど、「物作り」に苦労なんてないはずだから、あえて「ありがち」と。まるっきりのコピー商品だって、作るとなるとそれなりに苦労も障害もあるわけだから、インタビューすりゃこういった話の一つや二つは出て来るさ。

ってのは良いとして、この記事の中(3ページ目)に、

ああ、本炭釜を出して良かった、苦労が報われたなあ、といちばん強く思ったのは、本炭釜に関してお客様からお手紙を頂戴したときのことです。我々の元に寄せられる手紙というのは大部分がお叱りやクレームなのですが(笑)、これは違いました。「昔と同じ美味しいご飯が食べられた。この味を日本の若い人にも分かってほしいと思います。良い炊飯機を出してくれて、ありがとう」というものだったのです。

というのがあるのだけど、この「お客様」はいったいどこにお手紙出したのだろう。たまに書いてある「お客様窓口」は質問とかのためにあるのだから、「ありがとう」の類のことは送りようがない。よく朝日新聞には「脅迫文」やら「銃弾」やら送られて来るそうだけど、それにも専用の窓口はなさそうだ。どっちにしても、たいていの大きな企業には、

直接顧客の声を聞く口がない

のである。よく考えてみると、これはとてもおかしい。

件の記事のように、好評価を得れば担当者はモチベーションを高めることが出来る。もちろんクレームの類を聞く窓口が必要なのは言うまでもない。それがいろいろ役に立つこともわかるのだが、件の記事のように「我々の元に寄せられる手紙というのは大部分がお叱りやクレームなのですが」というのは、担当者のモチベーションはが上がらないし、「ダメなところ」はわかっても「良かったところ」はわからない。

そういった意味では、「少年ジャンプ」の袖にあるような「○○先生に励ましのお便りを出そう」みたいなものがあっても良いのではなかろうか? そうすれば、「何が悪かったか」だけではなく、「何が良かったか」がわかるようになるし、担当者のモチベーションを高めることが出来る。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です