良いバブル、悪いバブル

まるで池田信夫のblogにありそうなタイトルだ。つか、もしかしたら書いてそう。

この話のほとんどは誰かの受け売りである。その分信憑性は高いだろう B)

ある経済学者(誰だったか忘れた)の話を聞いた時の話だ。その人は、

日本経済はバブル崩壊で崩壊したのではない

と言われた。むしろ、日本経済はそれまで構造的に下向きになっていて、そういった地合の悪さが、バブルによって見えなくなってしまった。また、バブルによって経済成長してしまったものだから、それまでの構造的悪化のことを忘れて、妙な自信を持ってしまった。そういった妙な自信が構造改革を遅れさせ、バブルの崩壊によって元々の「下がるべきところ」に戻ってしまったので、バブル崩壊のダメージが大きかったのだと。

つまり、元々に日本経済は落ち目だったのに、バブルで浮上してしまったものだから、落ち目になっているところが見えなかった。バブルが終わったら、本来落ちるべきところに落ちてしまったから、バブルの時とのギャップが大きかったということ。

バブルの間は「構造改革」が遅れてしまい、その分ダメージがあったのだと。

確かに言われてみればもっともで、バブル前には「構造不況」という言葉が踊ってっていた。産業のかなりの部分が構造的に悪化していたのだ。みんながバブルで浮かれている間に、構造的悪化は進んでいたにも関わらず、「そこそこの成功」で悪化のことを忘れ、油断をし、対策が遅れてしまった。しかし、悪化基調が改善されたわけじゃないから、バブル分が消えたら元よりも悪くなってしまったという話。かなり納得が出来る。

バブル景気の後、「バブル」という言葉は一般的になった。それ以前は「暮しの手帖」が1記事まるまる「バブル」のことを「バルブ」と書き間違えたという事実があったくらい馴染みがない言葉だったのだが(学生時代それを読んでびっくりした)、何かと言えば「バブル」という言葉が出るようになった。

私は経済はあまり詳しくないが、ある経済がバブルであるかどうかは、容易に計算できるそうだ。一言で言えば、「ある実体経済の伸び(たとえばGDP)と、それを取りまく実質の経済の伸び(株価や地価)に激しい乖離がある」という状態がバブルだそうだ。そう説明されれば、納得が行く。

その後は「ITバブル」があったり、「Linuxバブル」があったり、あるいは中国株バブルがあったりといろいろなバブルがあった。

日本経済のバブルは、本来下り行く経済がバブルのせいで紛飾され、本来行うべき構造改革が遅れてしまい、そのせいで崩壊後のダメージは大きかった。

IT系のバブルは、どうでもいい会社が過大評価を受けて、本来潰れるはずのものまでもてはやされたものだから、バブル崩壊後に潰れてしまった。とは言え、その時の勢いで「次のステージ」に進んだ会社もあった。つまり、バブルを追い風にしてうまく成長したわけだ。

本来ダメなものを紛飾させるのもバブルなら、そんなバブルを有効利用することも出来る。下向きの時のバブルは戦略を誤らせ、改めるべきものを改めるチャンスを失なわせるが、上向きの時のバブルは戦略を誤らなければ、追い風にできる。

バブルそれ自体は無為なものだ。それを活用出来る者にとっては良いバブルであり、それで勘違いしてしまう者にとっては悪いバブルになる。

私が見る限り、「某バブル」は今のところ「悪いバブル」に見える(謎