ブランディングの難しさ

本業でやるサービスの名前を考えるのに苦労している。

サービスの名前は、「わかりやすさ」が重要である。特に新しいことをしようと思えば、「聞いただけで内容がイメージ」できる程度にわかりやすくなくてはならない。

「mixi」のように完全に造語にしてしまうという手もあるが、定着するまでの時間を考えると、かなりバクチに近くなる。うまく行けばヒットだけど、失敗するとダサい。死屍累々の造語を見ていると、99%失敗すると言ってもいい。いや、もっと高率かも。

また、造語の危険は「思わぬ言語で思わぬ意味を持ってしまう」ということもある。これは既存の語でも起こりうるが、既存の語であれば「○語で××という意味です」と説明すれば済むが、造語だとそうも行かない。

この「わかりやすい」というのは、相手によっていろいろだということがある。技術者や英語圏の人であれば、英語的なわかりやすさで十分であるが、コンシューマとなるとそうは行かない。いかにクールな言葉であっても、コンシューマ向きのものであるなら、コンシューマが「はぁ?」であってはいけない。もちろんわかる人だけ相手であれば、それなりの語でも問題はない。

難しい外国語がいけないと言っても、あまりに日本語だと海外進出の時に面倒臭い。絶対に海外に行かないぞという決意があるとか、海外では全く意味がないのなら考慮の必要はないが、「可能性」がある場合はベタな日本語なブランドは避けておいた方がいい。となると、「普通の人なら知ってそうな、外来語的になじみのある英語」あたりを使うことになる。

何語であっても、あまりにベタな名前は良くない。ベタ過ぎると、そのベタなイメージで提供側も利用側も考えてしまいがちで、拡がりがなくなる。既にものごとが決まっていて、決められたことだけやればいいのなら、ベタであることは良いことである。しかし、これからの発展を考えなきゃいけないものであれば、あまりベタなのはいけない。

また、覚えやすく言いやすいということも重要だ。これには「語感」というのも重要で、「語感」には「語の持つイメージ」だけではなく、リズムの良さということも考えないといけない。

たとえば2語の組み合わせを考えると、「たーんたーん」「たーんたた」「たたたた」は良いが、「たたたーん」なリズムはウケがよろしくない。3語になるとさらにいろいろなリズムパターンが考えられるが、3語のブランドは長過ぎるので避けたい。あまり長いと略語を作られてしまって、そっちの方が一般的になってしまう。いい略語ができたら現状追認してしまえば良いのだが、そうすると商標権の主張が難しくなるし、ドメインとか先に取られてしまいかねない。

こうして考えた名前も、ドメインが取れなくては意味がない。サービス名とドメイン名が違うと覚えにくいから、一致させておくのが望ましい。ところが、わかりやすく、覚えやすく、言いやすいという名前は、たいてい既に誰かが取っているという罠。

つーことで、もう半年くらいずっと考えて、辞書引いたり、whoisしたりしている。そうこうしているうちに、「こんなサービスも統合したらもっといい」とか考えているうちに、「もっとカバー範囲の広い概念」とか考えてしまって、せっかく考えた名前も捨てることに。

ドメインは重要なので、名前を考えついて空いていれば、とりあえず取ってしまう。最近だとgTLDについては「全部」取っておかないと、取り残しはドメイン屋が取ってしまって面倒臭い。そう考えて取っていると、だんだん「使いもしないドメイン」ばかり増えて来る。いかにGANDI (gandi.net)が安いとは言え、こういったことをやってると懐が痛い。

ということで、やっとこさ考えて、

POSTPLUG.NET

というドメインを取りました。これで打ち留めにしたいところ。