iPodは凄い

iPod等にLinuxを入れる方法の実験をするために、iPodの最新機種と、Kenwoodの「MEDIA keg」を買って来た。

USBストレージとしてだけ使うのはもったいないので、音楽を入れて使ってみることに。元々聞くだけなら初期nanoを持っていたので、これで十分だったのだが、せっかく持っていて使わないのはもったいないし、音の違いとかにも興味があったので。特にMEDIA kegは最上位のHD30GB9なので、どんな音がするだろうかと期待があった。

聞いてみると、音の良い順に、

MEDIA keg >>(超えられない壁)>> 5.5G iPod > 初期nano

であった。初期nanoもPCのサウンドカードと比較すると嘘みたいに良い音がするのだが、MEDIA kegは圧倒的に音がいい。ちょっとシャリシャリ感があるのだが、情報量は非常に多い感じだ。それを聞いた後にiPodで聞くと、「飛行機に乗って耳がおかしくなった」感じに近い。全体的な鮮かさがまるで違うのだ。それくらい音がいい。

ところが残念なことに、MEDIA kegは操作性が悪い。どれくらい悪いかと言えば、ちょっと触るだけでイライラし、壁に投げつけたくなる程だ。

たとえば、イコライザをいじろうとすると、まず初期状態に戻されてから設定になる。なぜだか知らないが一度初期状態だ。これはイコライザに限らず、設定ものはほとんど(全て?)そうで、非常にイライラする。

それにも増して酷いのは、

キーの操作感

だ。スイッチになっているのでクリックがあるだけではなく、それが結構堅い。押すと「ぶきっ」という感じで壊れそうな不安がある。そしてそれをさらに酷いものにしているのは、

キーの意味がコンテキスト依存

であるということだ。

iPodの場合、どこを押せばどうなるかというのは、わりと自然でわかりやすい。マニュアルやガイドの類はいらない。なぜなら、キーの意味は常に一定だからだ。だから、ほとんど初めてであっても画面を見ることなく操作ができる。直感的でわかりやすい。

MEDIA kegの場合、キーの意味がコンテキスト依存であるから、「今どんな状態で、その状態の時のキー操作はどうだ」ということを把握してないと、画面を見ないで操作するのは難しい。「状態」が多いものだから、覚えるべきキー操作も多くなる。もちろんガイドが画面に出るようにはなっているが、逆に言えばそれがないと操作は出来ない。「ポケットの中に入れておいて、手さぐりで操作する」ということは、困難である。

この問題は、「圧倒的に上」である音質の良さを吹き飛すくらい大きな問題だ。何しろ使いにくいもの、好みに設定しにくいものは、そもそも使う気が起きないからだ。使わなければ、良いとか悪いとかは意味を持たない。

そのことを見ると、iPodのUIは実に凄い。何が凄いと言って、キー操作からコンテキスト依存をなくしたことが一番だ。もちろん「何をするか」でキー操作はコンテキスト依存してしまうのだが、それは本当に限られた局面だけにしているというのが、iPodのUIデザインの凄さだ。

まぁMEDIA kegは「音量専用のキー」なんてのを設けてしまった時点で負けてしまっているわけだが。