未開の荒野にルールはない

呆れた話なんだが。

自動配送ロボ、公道走行可能に 21年度にも全国で

ありとあらゆることが「間抜け」である。

この手のロボットは近い未来には必需品と言っていいだろう。「配送」が問題となっていろんなことが起きたのは記憶に新しい。何でもそうなのだが、「ラストワンマイル」が一番大変なのだ。以前、Amazonがドローン配送とか言ったりロボット配送と言ったりしてたのは、実にこの問題の解決のための「ロボット」が必要だという考えからだ。

ドローン配送にしても配送ロボットにしても、無人で自律的に動く「ロボット」でなければならない。

こういったものを取締る法律は実のところあまり充実してない。そりゃそうだ。自分の判断で勝手に歩き回る生物でないものなんて、ちょっと前まではSFの世界にしかなかった。

そればかりじゃない。「電動車椅子」のようなものも、それ程明確な「法律」があるわけじゃない。もちろん何も全くないわけでもなく、いろんなものを踏襲した結果こういったものはある。

超小型モビリティについて

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とは言え、このせいで「電動自転車」の周辺がいろいろ面倒臭いことになっているのは、ご存知だと思う。動力によって一定以上の速度(徒歩以上)が出る「乗り物」はナンバープレートが必要となる。なので、「電動キックボード」や「セグウェイ」みたいなものは、いろいろ面倒臭い。

面倒臭いとは言え、そこに「ルール」があるのだからそれに従えば、件の「自動配送ロボ」もOKだろうと思うが、自律で動く「ロボット」には「ルール」がないのが開発や普及の壁となっているとゆーのが件の記事の話である。

現行制度は自動走行するロボットについて法律上の明確な規定がなく、公道走行は認められていない。

コンプライアンスにうるさい時代なので、「まずはルール作り」とか思ってるのだろうが、はっきり言って

眠たいこと言ってんじゃねーよ

だ。

数年前までSFの上にしか存在しないものに、「法律」なんぞ存在しない。そして、今作ろうとしているものは、これから凄いスピードで進化して行くものだろう。そして、「普通の人」にはその未来はわからない。未来どころか「今」の時点で存在するものを理解することも容易ではないだろう。それが「普通の人」でなくて「わかってる人」であっても、多少のレベルの差がある程度で「今わからない」が「3年後はわからない」になるに過ぎない。結局わからんものなのだ。

そこに「ルール」は作れるのだろうか?

もちろん無理やり作ることは不可能ではなかろう。何でも作ればルールであり、ルールがあればそれを守るのが正しい態度だ。とは言え、「今」に合ったルールであっても、「3年後」に合っているかどうかは「わかってる人」ですらわからんだろう。それが「10年後」であればもっとわからない。誰もわからない。でも「ルール」は一度作ってしまえばそこが基準になる。仮に改訂して行くにしても、基本となるルールが元になることに変わりはない。

ルールを作るには時間がかかる。件の記事によるとちゃんと立法化するつもりらしい。となると、「国会」を通す必要がある。ご存知のように、「国会」を通すのはいろいろ面倒臭いことが絡む。他の法案の都合で先伸ばしにされることもあれば、何かの法律を通すためにバーターで「なかったこと」にされるものもある。仮に最速で進んだとしても、1年くらい先の話になってしまう。

他方、この世界はどんどん進んでいる。当然のようにAmazonは始めているし、中国でもやっている。こういった「勢い」のある世界ではどんどん進んでいるわけなので、そこで「1年」とか永遠に近い未来と言ってもいい。はっきり言えば、置いて行かれる未来しか見えない。

彼等はどうしているかと言えば、

未開の荒野にルールはない

という原理で動いている。もちろん既存の法律にあからさまみ抵触することは当然避けるだろうが、

明確に禁止されないことはやって良いこと

というマインドだ。

そもそも法律というのはそーゆーもので、「明確に禁止されていない = やっていけないわけではない」なのである。上で引用した記事に、

現行制度は自動走行するロボットについて法律上の明確な規定がなく、公道走行は認められていない。

とあるのだが、「明確な規定がなく」というのは「明確に制限があるわけではない」ということで、正しくは「公道走行は禁止されていない」と解釈するべきである。

もちろん「公に認められいるわけではない」というのも事実なので、そこは玉虫色の法律解釈となる。

ならばどうするかと言えば、

やってしまう

のが正しい。そして、それを利用する人を作って、「便利なものがある」という既成事実を作ってしまうのである。

例えば比較的開放的な田舎で稼動させて年寄りに便利に使わせて、ローカル新聞の「ほのぼのニュース」枠でも書いてもらう。そうすれば既成事実となってくれるし、仮に法制化するにしてもそういった既成事実を否定する方向のものにはならないのが、日本の法制化だ。特に、「過疎高齢化の村の切り札」的な立ち位置をアピールできれば、無視するわけには行かないのだ。

もちろん「田舎」にはいろいろあって、そういったものを「異物」として排除するところも少なくない。だから、そういったテストフィールドをいかに選ぶかは大事であるし、「運」の要素も小さくないだろう。とは言え、全ての田舎が閉鎖的というわけでもないし、「排除なんてしてられない」レベルの田舎もあるので、そういった場所がないわけでもない。少なくとも「都心」でいきなり実証実験を始めるよりは、ずっとハードルは低い。

都心で開発して「法律ガー」とか眠たいことを言ってる間にAmazonや中国に遅れを取ってしまうのだ。本気でやるのであればそーゆー眠たいことを言ってる間に、「やりやすい場所」を探して既成事実を作ってしまうのだ。そうすれば、仮に法律を作るとゆーことになっても、その受益者を無視した法律は作られないだろうし、「わかってる人」を増やすこともできる。

個人的にはそういったことに興味があるので、コロナのこともあるし、自分の田舎に帰ってそーゆーことをやりたいなぁと思っているところ。まぁその前に作るべき基盤(特に金と人)の問題があるので、すぐにはできないのではあるが。