手抜きの煮しめ

私の主食は野菜スープである。

前にも書いたように、家では飯を炊かない。刀削麺やウドンの日々だったこともあるが、やはり炭水化物はいけないだろうと思い、また野菜スープの生活に戻った。

この野菜スープは主食にするために味が薄めなので、アクセントに欠ける。野菜以外のものが入っていてもいなくても、そんなに味の強いものがあるわけじゃない。と言うか、塩気の薄いスープに入れて煮れば、何だってそうなる。

だから、野菜スープには「おかず」を付ける。「おかず」だから、味が濃いものになる。そういった点で煮しめはちょうどいい。作り置きもできるし、いろいろ応用も効く。

ちゃんと作る時には、ちゃんと出汁を取って… とやるのだが、手抜きでやる方法。

まず具を用意する。特に何ということはない。「煮しめに入ってそうなもの」を入れればいい。根菜もいいし、豆腐油揚の類でもいい。さつま揚げでもいいし、茹で卵でもいい。適当に用意して、一口大に切る。

こいつを、「麺つゆ」を水で割ったもので煮る。濃さは適当だが、こういったものはたいてい「ちょうどいいよりも、ちょっと薄め」が基本だ。煮ると味は濃くなるし、濃くならなくても「ちょうどいい味」というのは、実は濃い味になりがちだ。前にも書いたが、薄味で失敗はない。薄くていけなければ、醤油かけて食えばいい。そうすれば食えないことはない。濃くなり過ぎたものは、お湯を入れて割ってもダメなことが多い。

やるべきことはこれだけ。味が染みたのが好きなら長めに煮るし、急いでいれば短くていい。汁に甘さが足りなければ、味醂でも足してみるといいし、辛くしたけりゃ醤油を足す。濃い過ぎたと思えば、最初のうちなら水で薄めるし、その時に味そのものが薄いと感じれば、酒を入れてもいい。その辺は好みで調整する。

ものすごい手抜きなのだが、これでも立派においしく出来てしまうのが、「麺つゆ」の偉いところ。味付けにあまり工夫がなくても、麺つゆ以上の味になるのは、具が偉いからだ。自分の腕でやれることはたかが知れているので、具の質は大事だということもわかる。