「プログラマ35歳定年」は実は良いことかも知れない

「プログラマ35歳定年」については、何度も書いている。

Results for ‘35歳’

手を変え品を変え書いているのだが、早い話が「それはナンセンスだしそうならないように頑張ろう」的なことを書いている。

しかし、ここに来て実は良いことなのかも知れないと思うようになった。

以下、「バイアス」とか主語の大きさを云々する奴は読まないでよろしい。そーゆー奴はそもそもうっとおしいし、そういったものを云々しなきゃいけないレベルの人には多分通じない話だからだ。

最近の私の仕事は、ソフト屋とハード屋の間を行き来している。回路設計をして、プリント基板を作り、ファームを開発して、さらにシステムにする。その過程で各種ハード屋と関わり、ソフト屋の情報を見る。ソフト屋としての私しか見たことがない人達にとっては、「そんなこと出来るのか?」と思うだろうが、私の生い立ちやら学校のことやら考えたら、むしろこれが自然な立ち位置だと思う。

そうやってハード屋とソフト屋、両方に関わっていていると

ハード屋のおっさんの老害っぷり

を強く感じるのである。

その「老害」っぷりは、ソフト屋が経験するものよりもさらにタチが悪い。ソフト屋が「老害」と呼ぶ「おっさん技術者」は、

古い技術に固執して新しいものを否定したがる

ということが主であって、だいたい技術的に論破出来たりする。

ところがハード屋になると、そこにさらに「若者への嫉妬」とか「評価に対する嫉妬」というような

嫉妬ベースで他者否定する

という、屈折したものが加わって来る。つまり、技術と言うよりは、感情がベースなんじゃないかと思うような、そんな老害を感じるわけだ(例えば和蓮和尚のことを陰でボロクソに言う人達とか)。そして、何かと言えば、「年齢」とか「経験年数」といった

時間ベースのマウンティング

をしようとする。

まぁ、ハード屋のdisがこのエントリの目的ではない。単に「近しい業界で老害が跋扈している世界」が存在していて、それは「おっさん技術者」の「おっさん」成分がデカいなとゆー、そーゆー話だ。

ソフト屋の場合、そういった「時間ベース」のことを持ち出すと、あっさりロートル扱いされてしまう。おっさん達はそれがわかっているから、「昔はこうやったもんだ」的な話題は少なくとも技術的な局面では避ける。あくまでも

昔話のネタ

であって、技術の話ではない。「おっさん」がおっさんであることを前面に出して技術的なものを否定することは、事実上不可能である。

ソフト屋でおっさんと若者と混ざっている場だと、おっさん達はなんとなく若者を立てようとする。私も「尊敬する技術者」とか思うと、だいたい自分より(ずっと)若い人達だったりする。他方ハード屋で似たような場になると、だいたいおっさんがデカい顔をして、若者を萎縮させていたり添えものにしてたりする。

それと言うのも、基本的にソフト屋は「35歳定年」であって、それ以後もソフト屋がやれる人達は、それなりの努力を惜しまず、自己啓発をし… 生存競争に勝った勝者であって、そういった人達はある種の「スーパーマン」なのである。

他方、ハード屋はなぜだかそういった努力と関係なく「万年技術者」でいられるようで、「年数」くらいしか頼るものがない人達も大勢いてしまう。

とか思っていると、ソフト屋が「35歳」で定年者扱いを受けてしまうのって、割と定着してしまっていることだったりするので、技術なり人材なりの

新陳代謝を促す

ものなのかも知れないと思ってしまう。「定年」になりたくない人達は、必死に「アンチエージング」に励む。それもまた良い。厳しいっちゃー厳しいんだが、良いことなのかも知れない。

余分なことをつけ加えると、この「ハード屋のおっさんの老害」の姿というのは、非常に既視感がある。どこで見たかなーとちょっと考えたら、

(日本の)オタク的コミュニティ

である。たとえば、趣味のコミュニティ、あるいは歴史あるゲームの世界、芸歴の長い芸人のファンコミュニティ… そういった「コミュニティ」だ。

そういったコミュニティには、「若者」は「そっぽを向く」ということで自衛が出来る。結果として「コミュニティの高齢化」という問題が起きてしまうのだけど、若者は関わらないで済む。

ところが「ハード屋」はお仕事なので、「そっぽを向く」ことは容易ではない。その結果、若者は後からどんどん補給されてしまうので、「古参」はますます偉そうになって行く。

まぁ、長期的には「職業選択の自由」が行使されてしまって、「業界の高齢化」が進んでしまうし、その結果衰退してしまうわけで… あれ? これも既視感あるぞ。

PS.

たけるんばが「ハード屋」のそれはいわゆる「職人」のそれではないかと言っていた。

実は同じことはこのエントリを公開した後に私も思ってた。「時間でマウント」も「嫉妬ベース」も、

悪い職人

のそれだ。実際ハード屋は職人的なところがあるわけなので、そりゃそうだよねと。

逆に考えたら、ソフト屋はまだ自他共に「職人」と思われてないとも言える。しかし、果して技術者がいわゆる「職人」で良いのかどうなのかという気がしないでもない。