DeNAのZEROSTORE

DeNAが「ZEROSTORE」なるサービスをはじめました。

DeNA、オンラインショップ構築サービス『ZEROSTORE』の提供を開始‐「月額0円」で「かんたんに」オンラインショップを開設できるサービスを提供

『ZEROSTORE』は「月額0円※1」で「かんたんに」ネットショップを開設する事ができるオンラインショップ構築サービスです。店舗運営者はあらかじめ用意された50種類以上の豊富なテンプレートの中からショップのデザインを選べる他、マウスでのドラッグ&ドロップによる商品配置やレイアウトの変更など、直感的かつ簡単な操作によってショップ画面を編集する事が可能です。さらに商品購入代金の決済手段として、DeNAの子会社が提供する決済サービスを利用※2する事ができます。

すげー、モロに競合じゃん… とか一瞬思ったけど、ちょっと違う。これ、結局のところ、

月額0円のオンラインショップ構築サービス

でしかないから。

もちろん0円にする意味はあります。でも、このドメインではまるでチキンレースのごとく、「月額固定費」を安くする競争が行われています。その究極で「0円」が出てもちっともおかしくない。むしろ、今まで出て来なかった方がおかしいくらい。これでDeNAが頑張って楽天の市場でも食うと、この世界面白いなーとか思うのだけど、多分そんなにはならないと思う。てか、

始めるの遅過ぎ

なんだよ。もっと早く始めていたら、いろいろ芽があったと思うんだけど、多分そんなにない。

なんで「多分そんなにない」と言うかと言えば、このドメインでそこそこ繁盛しているネットショップにとって、「月額固定費」がいくらであろうと、そんなにたいした問題ではないから。「とっつき」のためにいくら安くしても、幽霊店舗を増やすだけ。それよりはもっと「売るためのシカケ」の方が要求される。

「売るためのシカケ」に関しては楽天の方が圧倒的に上だから、賢明なショップ様は「0円」なんぞに引かれずに、楽天使ってりゃいいと思う。もちろん楽天のネットショップはネットショップ同士でチキンレースやっているから、その中で「勝つ」のはなかなか難しいとは思うのだけど、「ネットショップ」が戦うべき相手は、同じサービスプロバイダやモールの中の他のサービスではなくて、

インターネット上の同業他社

の方なので、「楽天で勝てなかったから、DeNAで勝てる」なんてことは全くありえません。同じ手間をかけるなら、楽天に店舗持つ方が多分いいでしょう。また、その「手間」から見れば「月額固定費」なんてゴミでしかないし、それがゴミに思えるような店舗でなかったら、今のネットショップの市場では勝てっこない。楽天だって馬鹿じゃないし、同じようなサービなんていくらでもあるんだから、「0円」にひかれてZEROSTOREを使うメリットは特にありません。

と言うのが、プレスリリースと、ちょっと登録してみての(したのかよ)感想。

私の拙い調査から言えば、もう一般小売が「ネットショップ」を持ってメリットを上げて行くのは難しいと思います。いくら頑張って単価を下げても、

商品名ドラッグして右クリックでGoogle

をやられてしまえば、安い店に行かれちゃう。もちろん「安い」のモノサシは結構いろいろあるのだけど、結局のところ比較可能なものは比較されて、より条件の良いところに行かれてしまう。そのモノサシのどれかで勝てない店舗は、早晩消えて行くしかありません。実店舗は「近所だから」と言う理由で多少高くても売れたりしましたが、ネット店舗だとそれもなく。だから、そういった条件で勝負する限り、とにかく「安く」するしかありません。誤解ないように言っておくと、「安く」ってのはあくまでも一つのモノサシの例であって、それは「短納期」だったり「送料」であったり「ポイント」であったりするかも知れません。とにかく、

比較可能なものは比較される

ということです。

だから、一般小売が「ネットショップ」を持ってメリットを出すには、比較可能でないところで勝負するしかありません。たとえば、商品開発(発掘)力とか。他店にない商品であれば比較のしようがありませんから。

ということがわかっているので、Shortplugは一般小売りのためのネットショップを提供するサービスには重心を置いていません。使うなとは言いませんし、使ってくれれば嬉しいのですが、そこには重心はありません。

では、Shortplugは何を狙っているかと言えば、

ネットショップが作れない人

をターゲットにしています。もっとつっこんで言えば、「サマになるネットショップ」が開けないところです。

「弊社はこの商品1本で80年やっています」的な製造業は結構あると思います。もちろん「1本」が「10本」かも知れないし、「80年」は「8年」かも知れませんが、とにかく「製造業」。

「製造業」の場合、商品の点数は限られています。大メーカーなら話は別ですが、そうでないところは商品の点数は少ない。そういったところでも、独自の流通を持ちたいところはあると思います。「なんとか工房」みたいなそういったところってそんなに商品点数がないけど、卸しに流す他に自分でも売りたいとか、そんなのイメージして下さい。

自分でネットショップをデザインしてみるとわかりますが、商品点数が極端に少ない場合、「サマになるネットショップ」を作るのは簡単ではありません。また、頑張って作ったところで、そこでショッピングしたいと思う人はそんなにありません。ネットショップって、ある意味「点数勝負」みたいなところがあって、商品点数がある程度ないと、相手にもしてもらえません。自分が買う立場になれば、その辺の気持ちはわかるでしょう。

Shortplugのターゲットは、そういった単独では「サマになるネットショップ」が開けない人です。

でも、このドメインには大きな市場が残されています。今挙げたような、「あまり大きくない製造業」だけではなく、

個人で商品開発をしているフリーのバイヤー

なんかもいっぱいいるでしょう。それは通称「チャリンカー」と呼ばれてますが、海外では「購入代行」として広く認知されています。

逆に、今からネットショップを開くためのサービスを提供するには、このドメインにリーチしなければ単なるチキンレースに参加するに過ぎないでしょう。

と言うことがあるので、ZEROSTOREについては似て非なるものであって、直接の競合ではないなーと思っています。