日本の残念な大学イノベーション

テクノフロンティア2013」に行って来た。

お目当ては、「ミニサーベイヤーコンソーシアム」の展示。理由はまたいずれ。

ぱっと見で内容見ると、大雑把に言えば「まぁまだこの程度なのね」でしかない。それからすると、UAVつかマルチコプターはまだまだ可能性があるか、まるっきりダメかのどっちか。いくつか「これは!」って思うのがあったのだけど、全体にはまだまだ「お遊び」にしか見えなかった。なぜなら、

ラジコン技術

の域を出たものがなかったから。「自律飛行」と言っても、まだ期待するようなものがない。

クアッドコプター群でジェームズ・ボンド演奏会(動画)

こんな感じのものは全くない。まぁ、目指す方向が違うと言えばそうなんだけど、こんな感じの「驚き」はなくって、「これMultiWii?」とか言っちゃいそうなものばっかり。いや、密かに制御ボードを見てしまったのは、その場では内緒だ。

その中で一つ強く興味をひいたのは、某大(あえて名は秘す)の展示で、エンジンで駆動したマルチコプター。たいていのマルチコプターが制御の都合で電動なんだけど、電動は飛行時間の制約が大きいので、実用的にしようと思ったら、こういったアプローチは意味がある。まぁ空撮目的には使えないと思うけど、「それ以外」には意味がある。

それは良いんだけど、そこにいた学生に「到達点は何?」と聞いたら、「自律飛行です」とのこと。それは良い。てか、ある意味当然だろう。「で、今は何をやっているの?」と聞いたら、機体の運動モデルの構築らしい。「飛行制御とかやってる?」と聞いたら、全くやってないとのこと。今はひたすら運動モデルを作っているとか。さらにつっこんでいろいろ聞いたら、いわゆる連続体とか流体のシミュレーションのような「あるがまま」のモデル化ではなくて、モデルによるあるタイプの式を構築しているようだ。

運動モデル作ること自体は悪くない。飛行安定性とかを解析しようと思ったら、そういったのがあれば良いのは当然。そういった研究は意味がある。うまくモデル化出来れば、いろんな人達にとって良いことになる。

でもさ。「到達点」が「自律飛行」だったら、それに向けていろいろやるべきでしょ。「ありがち」の制御でやれば、とりあえず飛ぶはずで、それで自律飛行の研究始めちゃえばいいじゃん。その途中でどうやっても制御出来ないとかって課題が出て来れば、運動モデルを構築して解析してみるのもアリだと思うし、それで制御方法の改良のスピードアップをするとか、そういったのはやるべきでしょう。

でもね。「自律飛行」が君達の「到達点」なら、まずそこをやるべきでしょ。どうせ「制御」でやれることってたかが知れていて、それは既に研究され尽してると言っても過言じゃないし、汎用コードもそこらじゅうにある。だったら、とりあえず安定飛行のためのコード書いて、飛ばしてみなきゃ意味ないでしょ。「今は飛んでるの?」って聞いたら、「頑張って手で制御してなんとなく飛ぶところまで出来ました」とか言ってる。「運動モデル」とか作ってる暇があったら、「とりあえず飛ぶ」ってところを作れよ。そうしたら、既存運動モデルの問題がわかるだろうし、自律飛行への一歩も出せるじゃん。「独自の研究」はもちろん大事だと思うけど、

巨人の肩に乗る

ことも大事だよ。

なんてことを学生相手に言ったんだけど、ピンと来てなかったっぽい。まぁ指導教官がダメ(と言っちゃう)なんだろうな。そんなことやってたら、いつまでたっても使い物になるものの研究なんて出来ないよ。せっかく「内燃機関駆動」とゆー面白いことをやってても、もたもたしてる間に他にやられちゃうよ。なんとゆーか、

日本の残念な大学イノベーション

の典型みたいなものを見たような気がして、とても残念だった。指導教官の問題だろうけどね。