廉価4Kディスプレイを見て来た

前々から、4Kのテレビは存在意味を疑問に思っている。そのことは何度か書いた。

「4Kテレビ」はまだ普及させてはいけない技術

とは言え、「4Kディスプレイ」となると話は別だ。

デジカメの画像とかも無理ない解像度で見ることが出来るし、HD動画も複数同時表示出来る。4Kともなると、必然的にディスプレイもそれなりのサイズになるから、高解像度であることもあって、プログラムを書くのにもいろいろ都合が良いだろう。

大型テレビとしての4Kは結構出ていて、アキヨドあたりで見ることが出来るのだが、あまりにデカいし高い。ところが最近になって、10万切ったものが出て来たので、俄然興味がわいて来た。

実売8万円以下の28インチ4K液晶モニタを仕様比較。デルP2815Q・ASUS PB287Q・レノボThinkVision Pro2840m Wide

ここでも比較されている。スペックが並んでるだけだけど。

まぁ、「見て来た」とか言いながら、出掛けて実物を見てみただけ。行ったのは、ツクモex館

展示されているのは、

デル P2815Q と ASUS PB287Q の2種。

もちろん、他の解像度のディスプレイも並んでいるので、併せて見る。

前置きばかりが長いのだけど、結論としては

時期尚早

というのが、個人的な感想。

何がどうということも難しいのだけど、この廉価な4Kの表示は、一言で言ってしまうと、

立体感がない

という感じなのだ。2Dのディスプレイなんだから、立体感もクソもないと思うだろうが、普通の解像度のディスプレイ、つまりIPS液晶とかVA液晶とかのものと比較すると、のっぺりした感じに見えるのだ。

実はこの廉価な4Kに共通するのは、TN液晶を使っているということ。まぁ、これについて原理とか特性は一々書かないので、自分で調べて欲しい。この画質がTN液晶のせいかどうなのかは、実のところよくわからないのだが、どうも発色がイマイチはっきりしないし、綺麗でもない。

テレビ用の4K、55″以上のデモは、やたらに派手な画作りがされていて、これはこれで勘弁と思うのだけど、多分この廉価な4Kに同じものを出しても、同じような派手な画にはならないと思う。あまりに色が残念なのだ。

多分、測定器的な色再現性だけを見れば、それなりのところに落ちつくのだろうとは思う。また、スペック上の階調はRGBそれぞれ10bitづつで、特に少ないわけではないのだが、どうも色が潰れたような感じに見えてしまう。まぁ、「階調が少なく見える」というだけだから、マッハバンドが見えたりするわけでもないけど。

55″以上のサイズの4Kの延長の画質を期待すると、期待外れもいいところになってしまう。それでもいい、4Kって奴を使いたいんだという人なら別に止めないけど、「あーゆー画質」を期待する人にはお勧めしない。うっかり買うとがっかりだろうと思う。

今のところ、あれくらいの値段であれくらいのサイズが欲しいのであれば、せいぜい2Kくらいにしておいた方がいいと思う。そうすれば、もっと色の綺麗ではっきりした液晶パネルが使われている。どうせ4Kで28″なんて、画素は見えないサイズになってしまうので、画像映像を見ることが中心になると思う。そうすると、あの「色」では期待する結果はないと思う。また、文字表示にするのであれば、Retinaディスプレイと同じように1/4の画素数にすることになると思うので、そうなると2Kと同じだから… ということで、あまり価値も引き出せないと思う。これが50″以上あるディスプレイなら、そんなことしなくても使えるんだけど。

そんなわけで、いくら安くなったとは言え、

28″の廉価な4Kは単なる無駄遣い

という感じだなぁというのが率直な感じ。やっぱりそれなりのサイズが必要だわ。