ニアショアなんてないよ

去年の頭くらいから、ベトナムに外注を出してます。つまりまぁ、オフショアです。

ベトナムってのは良いもので、単価はとても安い(日本の1/5くらい)上に、日本語は通じるし、日本を主要なマーケットと捉えているので、文化的な整合も取るように努力しているし、素でイラっとさせるようなこともしないので、結構安心して仕事が出来ます。これが、中国あたりだと悪気はなくてもイラっとさせられるような言動をするので、なかなか安心出来ません。

ベトナム(ハノイ)は片道6時間ほどとちょっと時間かかりますが、HISあたりのチケットだと、2泊付きで5万円くらいだったりします。ちなみに、松江までは往復の旅費が6万近くしてしまうので、ベトナムの方が安くつくわけです。

そうなると「片道6時間」ではありますが、「ちょっと明日行くので打ち合わせ」とかが不可能ではありません。一番の制約は双方のスケジュールの問題なので、その辺は国内の外注と大差ありません。同じ都内でも予定がなかなか合わないからWeb EXとかSkypeで打ち合わせとかすることもあるわけで。

つまり、ベトナムに外注に出すのは、

  • 単価安い
  • 距離は問題にならない
  • コミュニケーションコストもそんなに高くない
  • 文化ギャップはそれ程気にならない

ということで、とても楽なことです。

もちろん、どこであれ「良い外注先」を見つけるのはなかなか大変です。とは言え、良いところと良い関係を築けば、いろんな障壁がなくなります。もし、そういったものを紹介して欲しいところがあれば、紹介しますのでご相談下さい。もちろん弊社をブリッジにしても構いません。

国内だといくら単価が叩けても、せいぜい東京の半額くらいにしかなりません。まぁ、それ以下でも受けてくれるところあるかも知れませんが、どう考えてもブラックな展開しか想像が出来ません。ベトナムだと1/5でも大喜びでWin Winなのですから、単価的に太刀打ち出来ません。

確かに国内だとコミュニケーションコストが低そうに思われますし、実際そうなんですけど、うちの外注のように

「社内公用語は日本語です」

な会社もあります。そういったところだと、打合せは普通に日本語だけで可能です。通訳が必要ということはありません。もちろん彼等にとっての日本語は外国語ですから、ネイティブと同じというわけには行きませんが、日本人でも満足に日本語が通じなかったりすることも少なくないですから、そういった意味では大差ありません。

打合せに必要な交通費は、下手するとベトナムの方が安かったりします。これは結構とんでもない話です。また、もちろん「海外」ですから、出張でもちょっとした海外旅行気分になれます。まぁ、どうせ仕事なのではあるのだけど。

つまり、ベトナムはオフショアと言えども、国内の外注とだいたい同じように仕事が出来て、おまけに単価はやたらに安いということになるわけです。そうなると、もうよほどのことがない限り「ニアショア」なんてこと、つまり「日本の田舎」に仕事を出すなんて必要はないわけです。

「派遣契約」は基本的にはありませんし、やるとコストが嵩みますからそんなにメリットもありません。でも「ラボ契約」という形で現地人を「囲う」ことが出来ますから、自分達の専用チームを現地に持つことも出来ます。実のところ、直前のエントリの「営業社員募集」というのは、チームの持ち方に関係があります。

「5倍の価格差」ってのはかなり暴力的です。

  • 外注としての能力が不安であれば、同じ仕事を2ヶ所に出しても、楽に元が取れます
  • 逆にちょっとブリッジにコストかけてしまうと、ブリッジにばかり金がかかることになってしまいます
  • 新参の会社はディスカウントを言って来たりしますが、多少のディスカウントがあっても大差ありません。それよりコミュニケーションコストがどうなるかの方が、圧倒的にコストに効いて来ます

ということで、いろんな「常識」を覆してしまいます。

そんなわけで、

「ニアショア」なんてない

と思うのが現実的だと思います。地方のソフトハウスは、ニアショアは幻想なんだということを肝に命じる必要があるでしょう。