先日、近所のサンマルクで晩メシを食いました。あるコースを頼んだら、パンを持って来るのを忘れられてしまいました。私はよくこの手の「忘れられる」がある人なので、「またか」と思うと共に、店の質を見るいいチャンスだと思ってます。
まずデザートが出た時に、ちょっと意地悪に、
パンはいつ来るのかね?
と聞いてやった。そうしたら、ウェイトレスがあわてて謝るし、後でも持って来る旨を言うのであるが、どうせメシが済んでしまった後で、今さら来てもしょうがないので、
「店長呼んでもらえる?」
と言うと、「かしこまりました」と素直に呼んで来るではないか。そして来た店長は、平謝りに謝っていた。そこでさらに、
失敗は誰にでもあります。
その後をどうするかが、サービス業に就く者の才覚です。
と言ってやって、その後の反応を見た。こっちは、まぁパン代分だけでもまけてくれれば、求題点。それ以上のことをしたら、これは凄いぞと思っていた。
レジに行くと、別の店員がいて払おうとすると、いきなり謝って来る。そして、
本日のパン代は引かせて戴きます
と言って来る。こちらは「まぁそうだろうな」と思いつつ、払うと、その次に
これは本日のおわびです。お宅でお召し上がり下さい
とパンの包みを渡すではないか。この手のチェーン店でそこまでやるとは、なかなかのものである。はっきり言って、
猛烈に感動
した。これが店長の判断なのか、チェーンの方針なのかはよくわからない。しかし、そういった部分がきっちりされているというのは、サービス業としては素晴しいことである。ある見方をすれば、
それが出来て当然
なのであろうが、それが出来ないところが多いのだから、これに感動しても恥ずかしいことではなかろう。初めてサービスというものを見せてもらった。
実は同じようなことは、そこから1kmと離れていない、
クイーンズアーム
という別の店でもあった。その店の時は、店長を呼びつけて文句を言ったのであるが、それ以上のことは何もせず、持って来なかった品の差額分だけをまけて終わりにしようとした。あまり腹が立ったものだから、
「全額払うから、それはおめーらの恥としろ!」
と捨てぜりふを残して立ち去り、その後その店には行ってない。その後おわびの手紙も来ないし、そもそも何も言わずに全額を受け取ってしまっている店長がなさけない。
ところで表題の赤十字血液センタである。
数年前のことであるが、私が成分献血で行った時に、機械が故障したのだ。そのため、リターンサイクル(分離した残りの血を返すこと)がうまく行かず、処理が停止してしまった。機械であるから、故障はあることであるので、気持ちは悪いのであるが、
まぁしょうがないわな
と思って作業を見ていた。すると、センターの連中は何も有効な手が打てないのである。話を聞いていると、どうもマニュアルもどこかに持って行ってしまった人がいるらしく、手元にはない。つまり、
エラーリカバリ
が何らされないのである。結局リターンの途中で中止となり、残った血液は廃棄することとなった。まぁ高々400cc程度の血液であるから、それくらいは別に気にしたことではないのだが、それにしても対処中の気持ちの悪いことと言い、モタモタされる不快感と言い、
もう二度と来ないぞ!
と言うには十分であった。結局帰る時にそのように告げ、それ以来献血には行ってない。私は学生時代から献血をやり続けて、かれこれ123回程やったし、かなり苦労して献血をしたこともあったのである。つまり、それくらい
献血命
だったのであるが、その私がもう二度と行かないと決心する程の事故を起したのである。いや、事故などささいなことである。問題としたいのは、その後の
エラーリカバリのまずさ
である。最初のサンマルコの例でもわかるように、エラーリカバリをきちんとしておけば、それでサービスがいかに優秀であるかを示すことも可能なのである。もちろんエラーなぞない方がいいのは確かである。しかし、時としてエラーを起してしまうのが人間である。エラーが不可避なものであるなら、いかにちゃんとしたエラーリカバリを行うかが、サービスの質ということになるだろう。多くのサービス業は、このサンマルコを見習うようにして欲しいものである。