魚卵と酸味実験

私の中では「魚卵と山の酸味は合わない」が定説となっている。

ごく一般論として、「山の酸味と海のものは相性が悪い」と思って間違いはない。嘘だと思うなら、スルメを食ってからミカンを食ってみるがいい。なんだか妙な味になる。「魚介には白ワイン」なんて誰が言い出した話か知らないが、これも嘘っぱちだ。嘘だと思うなら、イクラを肴に白ワインを飲んでみればいい。なんだか妙な味になる。もちろんこういったものには例外はつきものであるから、全てがダメだという保証はないが、ダメだと思っていて間違いはない。

海のものに酸味をつけたかったら、里のものがいい。米酢、酒、醤油。こういったものの酸味は妙な味を作らない。理由はよく知らないけど、どうも海のものの蛋白質(アミン?)と山系の酸味であるクエン酸や酒石酸あたりと…ということではないかと思われる。

「チリはポン酢で食うじゃん」と言う向きもあるが、あれも「風味」でごまかされているだけで、妙な味を作っている。ただ、チリの場合は白身魚(妙な味を作りにくい)が中心であるということと、ポン酢の風味の方が意味があるのでああなっているだけだ。チリはしょうがないとしても、酢の物の時の酢は米酢を使うべきだし、柑橘の風味が欲しければ「皮」だけを使うのがいい。

先日の「明太子スパゲティ」の話の時に、某嬢が「サワークリーム」という話をして、「なんかおいしくなさそう」と反射的に思ったわけなのだが、やってみないと何とも言えないので、似たもので試してみた。今回作ったのは、

明太子ペースト

である。

明太子をほぐして、オリーブ油でゆるめたものに、チーズを入れる。この前の「明太子スパゲティ」の時には、このチーズはマスカルポーネであったが、今回はもうちょっと酸味のある「kiri」のムースタイプクリームチーズを使った。

何も考えないで食うと気がつかない人も多いだろうが、結果としては「失敗」である。何がいけないかと言えば、やはり酸味と魚卵が何らかの反応をして妙な味(苦み)を作ってしまった。これが気になると徹底的に気になるので、結果は失敗なのだ。

マスカルポーネはほとんど酸味のないチーズである。チーズと言うよりはクリームに近い。だから、魚卵と反応して作られる妙な味の原因となる酸の含有量も少ないようだ。だから、生成されないか、生成されてもほとんど気にならない程度にしかならない。しかし、普通のクリームチーズだと、発酵によって作られた酸が増えているので、妙な味も多く作るようだ。

某嬢が「おいしかった」と言ってるんで、それは事実なんだろう。となると、何がどう組み合わさった結果なのか興味があるところ。何しろ「魚卵と山の酸味」は「飲酒と運転」くらい組み合わせ禁止と言っても良いくらいなのだ。それゆえに、「その向こう」に何があるか興味深い。

調べてないこと。

  • 加熱との関係
  • 他の味との相互作用
  • 状況によるもの(彼氏の奢りとかー)

魚卵と酸味実験” への2件のコメント

  1. 味覚は人それぞれでしょうが、面白かったです
    調べていない事のリストの最後を見て思ったのですが、物事の全てにおいて、この点は案外重要なポイントなのかもしれません
    マスカルポーネは甘口のクリームのような感じなので(私はとても好きですが)、明太子のようなパンチの効いたものと組み合わせると、モッサリ感が強く出そうですね

  2. もっさりにはなりませんよ。あまり存在を主張する感じでもない。まぁ、チーズには違いはないので、元より重くなるのは確かですが。

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