好景気?

今の景気は「いざなぎ景気」を越える長期間の好景気らしい。

確かに仕事は増えているようで、技術者を集めるのも苦労しているようだ。弊社でも事実上パンク状態なので、確かに景気は良くなっているのだろう。決算の良い会社も少なくない。企業買収関係とか倒産の負債総額とか聞くと、「桁が違う」数字を見る。

とは言え、それ以外の好景気の実感があるかと言えば、ない。

いざなぎ超える好景気って本当?

のように、「本当かよ?」という論調の記事は少なくない。相変わらず繁華街はわりと平穏だ。デカい数字を聞く時は、たいていは金融資産絡みか、計上利益(あるいは赤字)の時であって、売上とか商談とかの話ではそんなにデカいと思う数字は見掛けない。

という背景があって、件の記事との連動で「今の好景気の名前」を募集したらしい。

発表!大賞は「リストラ景気」

なるほどリストラすれば計上利益は増えるし、好景気実感はない。

私はバブルを知っている世代だ。それと比べれば今の「好景気」なんてのはまるっきり嘘にしか見えない。バブルはみんな浮かれてしまったという負の面ばかりがクローズアップされがちだが、日本人はあの時に初めて「文化」というものを必要と感じたのではないだろうか。それまで、「機能」「効率」ばかりを追い求めていた日本人が、初めて「無駄の美」に目覚めたのがバブルの時だったように思う。

確かに「あまりに無駄」と思えることはあったのだが、それは「綺麗な無駄使い」「かっこいい無駄使い」を知らないで、単に無駄なことをしたからに過ぎない。早くに「無駄の美」に気がついた人達は、「いい無駄使い」ということを身につけたものだ。

私は「人生は突きつめると無駄なもの」だと思っている。「効率」だけを求めれば、人間なんて最初からいないのが一番効率がいい。だから、「無駄にこそ価値がある」とさえ思っている。「存在そのものが無駄」なものが存在しているということは、その「無駄」に価値があるからだ—と考えるのだ。

それを思うと、「リストラ」あたりで「効率化」を求めて作った今の「好景気」なんてのは、無意味に思える。無駄使いのできない「好景気」に意味はない。