SNSは流行りblogは廃れる(1)

世の中blogが流行っている。mixiでも日記の代わりにblogにつないでいる人は少なくない。また、何か調べものをしていてぐぐると、blogが出て来ることも少なくない。

私はmixi日記はつけているが、blogはつけていない(このページはブログエンジンを使って時系列で書いているが原則一方向だから、いわゆるblogではないつもり)。多分、今後もつけることはないだろう。mixi日記をつけ続けるかどうかはわからないけど、何も特別な事が起きない限りは多分つけ続けるのだろう。

mixi日記もblogも、一見似たものである。共通点は、

  • 時系列に書かれる
  • コメントがつけられる
  • 個人的に書かれる

というあたりだ。とは言え、以下の点が大きく異る。

blogは広く一般に公開され、mixiは範囲限定

このため、狙うところが違う。

blogは内容の精度が高くないと困る。無論個人的に書かれるものであるから、絶対的な精度は期待できないし、そもそも書かれたものにそれを求めるのは誰のものであっても期待には限界があるものではあるが、何にせよ書かれた内容の価値が重要である。精度の低いものがGoogleで高いポイントを得る(blogはトラックバック等のせいでPageRankが上がりやすい)のは、あまり喜ばしいものではない。

mixi日記は読む人が限られるから、その人達が納得できればそれでいい。ラフな説明であっても、特定のカテゴリの人から批判を浴びるような内容であっても、別に問題ではない。そもそもmixi日記は極端に言えば「友達作り」のために書かれるものであるから、内容そのもの価値よりも、筆者がどのように考えたとか、どのように思ったとかが重要になる。

ところで、私はネットワークという「遊戯」を見ていると、「コミュニケーションを楽しむもの」であると感じる。簡単に言えば、「友達を作って仲良くする」というのがネットワークという「遊戯」の目的だと思う。もちろんその「友達」のレベルや「仲良く」の内容、目的は人それぞれだろうが、一言で言ってしまえばそこに集約されると思う。他人とつながりを持ちたいというのは、人間の本能である。それを満たすのがネットワークという「遊戯」だ。

世の中のblogを見ていると、かなり多くのものが実は「内容の価値よりも友達作り」を目的としている。理由は簡単で、世の中のweb pageの多くが「個人的な遊戯」として作られているもので、何かの「情報発信」という意味で作られているものは少ないからだ。「いや、私は情報発信のために作ってますよ」と言う人がいるかも知れないが、普通の個人がやれる「情報発信」なぞたかが知れている。それよりは、客観的には「同行の志」を求めるための情報発信、簡単に言えば「友達作り」の方に重点があるものがほとんどだ。

「情報発信」としてweb page書くのは、書籍の原稿を書くくらいの配慮が必要になる。なぜなら、読者数の見積りが困難であり、また実際に調べるとweb pageはかなりの「読者数」があるからだ。

ちょっと「ためになる」ページは、すぐに結構なアクセスカウントになる。もちろん同じ人が何度も見たり、クローラやアンテナがアクセスするものも数に入ったりしていて、それがそのまま読者数になるわけではないが、すぐにそれなりのアクセスカウントになることは、そういったページを作って、アクセス解析をした人はわかるだろう。

ところが、専門書の初版は3000〜4000部くらいで、重版になるものは少ない。「人気入門書」だと版を重ねることも少なくないが、専門度の高い本を弱小出版社から出すと、実売2000部なんてことも少なくない。もちろん立ち読みする人や図書館等での購入もあるから、販売部数がそのまま読者数ではないが、まぁだいたいこんな傾向である。

そういったことを考えると、むしろ書籍よりもweb pageの方が情報の精度が要求されるべきものなのだ。それがそうでないところに落ちついているのは、読む方も書く方も、「しょせんweb page」という感覚があるからだ。幸いにして、GoogleにはPageRankというシステムがあるお陰で、価値のあるであろう情報が最初の方に来てくれるので、あまり酷いことにはなっていない。

さて、ここに個人的著作物の敷居を低くするblogというものが出て来た。敷居が低くなるために「品質の低い情報を増やす」ことにもつながる。また、blogは相互にリンクが張られるものであるから、従来のPageRankの算出方法ではPageRankが高くなりやすい。さらに、flameの起きそうな内容の記事は、激しくリンクが張られるので、さらにPageRankが上がる。その結果、Googleの検索結果(Googleに限らないが)が信用できなくなる。何しろ「くだらない情報ほど上に来る」ことになってしまうからだ。

ここではPageRankの基礎理論だとか、個人がくだらない情報を出すことの是非とかを論じるつもりはない。ネットワークという「遊戯」は常に道具が完全に揃っているわけでもなければ、その最適な選択がされているわけでもないから、改善点として不満を挙げることに意味があるが、単なる批判や反省に意味はないと思うからだ。

ただ、そういった事情でblogは存在そのものが有害になることも少なくないし、多くのblogページが本来の目的のために作られているわけでもないことがわかる。また、個人がblogやweb pageを持つことは、実はそう簡単な話ではないこともわかる。お気楽に「blogを始めよう」なんて言ってられないのだ。

しかし、mixi日記はこれらのほとんどに解決を与えてくれる。なぜなら、

  • mixi日記は外に公開されない。つまり、Google等に悪影響を与えない
  • mixi日記は読者想定が可能。極端な話、マイミク限定にしてしまえば「仲間ウケ」で十分だ
  • mixi日記は「友達作り」のためだ。最初から目的がはっきりしている

ここでは「mixi日記」と書いたが、おそらくこれから日本で始まるSNSはmixiを手本にするだろうから、多分「SNS日記」全般に共通するメリットだろう。いろんな「味つけ」はされるだろうが、基本は変えようがないだろうし。

そういったわけで、今まで「無理して」blogを書いていた層は、SNSの日記に移ると考えられる。もちろんblogを本来の意味として使っている人もいるので、そんな人達のものが全てSNS日記に移るとは考えられないが、全体としては廃れる(適正化される)だろう。

さらに(2)に続きます。