GIGAZINEの「求人」はまぁ妥当

GIGAZINEの求人の漢っぷりが話題だ。

【求人募集】GIGAZINEのために働いてくれる記者・編集を募集します

いろいろ言う人もいるだろうから、実はこうなんじゃないかってことを書いてみる。

GIGAZINEが「求人」に至った背景を見ていると、ベンチャーの悩みそのものだ。

能力がある人が欲しい、今すぐそんなに報酬は出せない。でも、自分の夢は間違ってるとは思っていないし、使命感もある。友人知人の範囲で探しても、妙にスケールが小さくなってしまうし、面倒臭い

いわゆるベンチャーの創業者なら「あるある」と思うようなことだ。と共に、「普通の求人」を期待する人からすれば、

それなんてブラック企業

としか見えないだろう。一言で言えば、「過酷な労働に低報酬」なんだから。

思うに、GIGAZINEが「求人」しているのは、ただの従業員ではなくて

同志

なんだろうと思う。そう思えば、納得出来る人も増えるんじゃないかな。そう解釈すれば、「要するに会社第一で働く社員が欲しいんだろ」とは違うものが見えてくるはずだ。別の言い方をすれば、

RPGのパーティーの仲間

を求めているわけだ。編集長が桃太郎。犬、猿、雉は、「きびだんご」だけの低報酬で働くブラック企業の従業員ではなくて、「鬼の征伐」と言う共通目的のためにパーティーを組んだ「同志」なわけだ。

他の国ではどうだか知らないが、少なくとも日本において、このような「同志」を「公募」する方法はあまりない。同じ志を持つ人が、信用出来る背景を持って出会う方法はなかなかないのだ。下手に出会うと、ケツの毛までむしられかねない。となれば、「どうせロクに応募はないんだから」と開き直って、こーゆー「ブラックな求人」を書いておいて「ピンと来た人」だけを相手にするのは、あまり格好は良くないがリーズナブルな手だろう。実際、広く求めるのであれば、他に手はない。

また、これも他の国ではどうだか知らないが、少なくとも日本において、このような「同志」を遇する有効な方法がない。「そんなもん役員にすりゃいーじゃん」という声もあるだろうけど、商法においての取締役の地位というのは結構厄介なもので、無用な責任を与えてしまう。マトモなベンチャーの創業者なら、リスクまでは相手に取らせたいとは思ってないし、「同志」と言えども完全には対等じゃなくて、

能力を期待してお願い

して来てもらってると思っているものだ。そうなると、会社経営の面倒臭い諸々を背負い込むような面倒を相手に与えるようなことは避けたい。責任持って能力を発揮してもらおうと思っていても、借金の連帯保証人になってもらおうと思ってはいない。だいたい、取締役ってのは「今期は業績良かったからボーナス」ってのは簡単には出来ないのだ。その分額面の報酬は多くなるわけなんだけど、給料出せない時は「未払い給与」とか「短期借入金」とゆー科目が増えて行くんだよw

そういった意味では、

零細企業の役員ほどブラックな仕事はない

と言っても過言じゃない。どんなブラック企業でも、従業員なら給料出るからね。

ところが、日本の会社組織にはそういった都合のいいことが約束された身分はない。内部的には会社のコアなこと(経営に限らず)にそれなりの責任を持ってタッチしつつ、対外的には「ただの平社員でございます」という顔が出来る立場ってのはない。

とか考えると、GIGAZINEの「求人」ってのは、納得出来る人にとってはとても妥当に見えるだろうと思う。

で、納得出来ない、単なるブラック企業の求人にしか見えない人も多分いっぱいいるだろうけど、そういった人達は件の「求人」の対象外だから、あんまり一生懸命見てもしょうがないと思う。うっかりここでdisって炎上させたりしたら、文字通りの

炎上マーケッティング

に加担することにしかならないし、件の「求人」の手法なら、それは期待していることのはずだ。何しろ「大衆にウケる」ためじゃなくて、「ピンと来る人」だけを相手にしてるんだから。

PS.

ここでは、GIGAZINEがこういった求人するに値するかどうかについては、一切言及しない。それについても、あれは「ピンと来た人」向けなのよ。

PS2.

件の「求人」で完全にダメな点を一つ挙げると、

クビにした人の悪口を書いた

ってこと。これは「メディアの暴力」だってこともさることながら、「仁義」としてやっちゃいけない。まぁ、よほどのことがあったのかも知れないが。

「辞めた会社」の悪口を言うのも、あまり感心したことではないけれど、これはよほどのことがあれば許されることだろう。でも、クビにした奴の悪口は、個人的な場ならまだしも、公には言っちゃダメだ。

PS3.

↓に「そんなスーパーな人来るの?」的なことが書いてあるのだけど、これって要求したところで来るとは限らないんだけど、要求しない限り来ることはないんだよね。

求人って面白いもので、ハードルを作るとなぜだかギリギリそのハードルを超えられるような人しか来ないの。たとえば「高卒以上」って書いちゃうと、「高卒」しか来ない。学部卒も院卒も「高卒以上」なんだけどね。そう言った意味では、「夢のような人材」が欲しければ、そう書いとくしかない。もちろん書いたところで来るとは限らないんだけどね。

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This entry was posted on8月 2nd, 2010 at 12:58:36. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0. Both comments and pings are currently closed.

8 Responses

Comments(5)Trackbacks(3)

  1. サニー

    ここの社長、幻影旅団みたいな組織が理想だってちょい昔の記事にあったな
    凄腕の念能力者(記者)を育てようと計画したのにポックル程度にもならなかったのか・・・

    2010/8/2 月曜日 17:23:59 | #1
  2. clausemitz

    “零細企業の役員ほどブラックな仕事はない”って実感こもってるなーw うちの師匠も、あれはハイリスク・ローリターンどころかノーリターンだって言ってたようなw

    2010/8/3 火曜日 2:17:33 | #2
  3. みゃあ

    確かに「リーズナブルな求人方法」だとは思うけど……
    求めている人材が「どんな記事でも書けて編集もできて、しかも社の経営を……」みたいなスーパーマンな気が。
    そんな奴、とうに起業してるかピンでやってるか、今更…って気がしなくもないですね。

    まぁ、でもこれで人材が来るようなら面白いんですが。

    2010/8/3 火曜日 2:32:26 | #3
  4. バブリン

    年収 額面上は250万以下

    もちろん手取りはそれ以下

    朝早く夜は遅い 土日もなし

    常に記事のことを考えさせられる

    彼女(といってもまだ女友達の状態)と映画を見に行っても、なんでそれを記事にしないんだって怒られる

    どこどこ行ったと言ったら、それ記事にしろ って

    仕事を忘れて遊びに行ったのに、それすら許されない

    常に記事を書くことを前提にすべての物事が許される

    どこどこで食べた  おい、それ記事にしろって強要される

    つまり、社員は常に記事を書くことを念頭に置きながら生活しろとのこと

    だから年中無休 常に頭は記事を書くことばかり

    疲れたよ

     

    2010/8/3 火曜日 22:36:36 | #4
  5. みゃあ

    >バブリンさん

    ライターは基本そういう仕事。年収の事はさておき、それができないなら「記者」とかには向いてないと思うよ。

    2010/8/4 水曜日 0:34:14 | #5
  1. […] This post was mentioned on Twitter by Sumihiro Ueda / 上田澄博, なかわんくま@Tocio Laponia, Yoshiyuki Nakamura, KatokichiSoft, あのん and others. あのん said: 見てる: "GIGAZINEの「求人」はまぁ妥当 | おごちゃんの雑文" http://is.gd/dXBSK […]

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