実名主義の人でも匿名の恩恵はある

実名(顕名)匿名の議論はもういい加減飽きてるんだけど、最近また唐突に始まっている。

ネットで実名を出せない理由

匿名発言者は、自分の気持ちがわからない人が多い

実名推進派は人の気持ちがわからない人が多い。 : ひろゆき@オープンSNS

この辺のことはもう飽きちゃったから個人的にはどうでもいい。まぁ私の主張に興味がある人は古いエントリでも見て下さい。

ただ、最近あちこちのブログを見て、あることに気がついた。それが表題のこと。

「匿名者」には基本的に人格がない。もちろん、個々の匿名者には人格はあるはずだけど、匿名者という集合には、固定した人格がない。つまり、匿名とは、ラベルとしての名前がついてないだけではなく、固定したプロフィールも存在してない状態だ。と書いてみれば、「そんなの当然じゃん」って思うんだけど、意外に忘れがちでかつ実に使い道が多い。

それはどういった使い道かと言えば、

脳内人物

が作りやすいということ。新聞や雑誌の記事にありがちの「一部の科学者の意見」とか「識者の声」とか、そういったものは、往々にして記者の「脳内人物」だったりするわけなんだけど、これは「匿名のある人」ということになっている。

これが特に名前を隠さなければならない、本当の識者だということだと、「こっそり言わなければならないくらい重大なこと」と読み取れる。でも、世の中での濫用っぷりを見る限りでは、むしろ「記者の妄想の権威づけ」として使われているんじゃないかと思う。その裏付けが欲しかったら、自分の専門分野について書かれた記事を読めばいい。「わかってる奴は絶対こんなこと言わない」ようなことを、「識者」が言っていたりする。こんなのを読めば、ボンクラ記者の妄想を「匿名の権威ある人」を使って肯定しているんだなということがわかる。

同じように、匿名の人物に狙われているというような、

架空の脅威

も作れる。いわゆる「ジサクジエン」って奴だ。しかも、2ちゃんあたりの「名なしさん」ではなくて実名主義の人がこれをやってしまうと、登場人物の半分は実名の人だったりするわけだから、妙な説得力が出てしまう。

もしかしたら、それは架空ではなくて現実に存在している脅威なのかも知れない。でも、それが現実の脅威なのか「見えない敵」なのかってのは、聞いている方にはよくわからない。となると、「匿名の有害性」を語る時に「架空の脅威」を使うことが可能になってしまう。

これは「声なき声」なんかも同じだ。そんなものが存在するかどうか、実際に「声」を集めてみれば良いのだけど、「アンケートはアンケートを取ることにより事実が変化する」こともあるし、それこそがまさしく「声なき声」だったりするという両刃の剣。素人には反論が出来ない。「みんな」なんてのも同じだ。

そんなわけで、実名主義でいろいろ主張する人であっても、匿名を使うことは可能だし、実際にそれをやっていたりする。

なんてことを、「某ブログにあった実名主義を主張する某弁護士のコメント」を読んで、「つっこめ!」という「声なき声」にしたがってみたw

実名主義の人でも匿名の恩恵はある” への3件のコメント

  1. ピンバック: Tweets that mention おごちゃんの雑文 » Blog Archive » 実名主義の人でも匿名の恩恵はある -- Topsy.com

  2. > 「みんな」なんてのも同じだ。

    最近反射的に「みんなって、アンタと誰?」と思うようになりました。

  3. かなりの昔にogochan氏がslashdotにて、
    「匿名の告発こそもっとも恐ろしい。何故なら『この俺が言うのだから信用してくれ』という要素を要しない証拠が積み上げられたということだからだ」(大意)と仰っていたのをふと思い出しました。

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