「官打ち」

コンテンツとして楽しむ選挙は終わったんで、あとはまたーりヲチするだけ。

今の時点であれやこれ言ってる人もいるけど、首班指名すらまだなんだから、しばらくはヲチでいいと思う。今やイデオロギーの時代じゃないんだから、是是非非だ。

で、こんなニュース。

福島党首の入閣決定 社民、雇用担当相を軸に検討

いろいろ言う人があるんだろうけど、まず思ったのは表題のような話。

「官打ち」の意味については、適当にぐぐってみたらいい。

私はこのニュースにデジャブあるなーと思ってよく思い出したら、昔出向になっていた会社で起きたことだった。

そこにはわりと頭がいい女性事務員がいた。頭が良くて仕事もそれなりにちゃんとするのはいいんだけど、彼女はやたらに上司を批判する人だった。別に私の部下ではないから、はいはいと聞いておけばいいし、実際そうしていたんだけど、だんだんイラっとして来るようになった。

最初は「私だったらこうする」的な批判だったので、「ああ、よく他人を見てるな」「よく考えているな」と思っていたのだけど、長らく聞いていると飽きて来る。飽きて来ると、腹の中でつっこみが始まるんだけど、最終的には「そりゃバランス無視すりゃ何とでも言えるさ」だった。批判としては凄くまっとうで、代案も出してるんだけど、

それが出来りゃ苦労はしないぜ

とか思ったものだった。

ある日彼女は、営業のことについて大批判を、こともあろうか役員相手にやっていた。「こともあろうが」とは書いたけど、彼女が役員相手にやっているのは別に珍しくもないんで、「ああ、またやってる」くらいだったのだが、普段と違うのはその後だ。

なんと彼女は営業の責任者に大抜擢された。

って、わかる人にはすぐピンと来るんだろうけど、要するにこれは

そんなに文句があるんならお前がやれ

という意味だ。

さすがの彼女も馬鹿ではないので、この人事で愕然。数日後に退職という運びとなった。

さて、この方法のいいところは、もし本当に能力がある人だったなら、この「大抜擢」は実に良い人事になりうるということ。良い人材が抜擢出来れば、それはそれで組織としてメリットになる。

そして、「官打ち」の意味がわかる者には体のいい退職勧告になる。しかも、その「退職勧告」も降格人事やイジメの類ではないので、なかなか文句も言いにくいし、普段の言動からすれば「本人はそれを望んでいたから、それを叶えた」と言える。後づけていろいろ言うことは不可能じゃないかも知れないが、普段からそれを求めていたんだから、それを叶えたことが問題視されるようじゃあ、うっかり昇格も出来ないことになる。

また、万一本人がそれに気がつかなくても、本人にその能力がなかったなら、マネージメントが上手く出来なくて自滅してしまう。そうすれば、「あの人は口だけ番長だった」ということを周囲に印象つけることが出来るし、つめ腹を切らせる口実にもなる。現場が多少混乱してしまう問題はあるけれど、それは「本命」の人に頑張ってもらえばいいし、「本命」の人だって前任者が大失敗した後だから、良い評価が得られやすい。うまくすると「火中の栗」は既に拾ってあったりするかも知れない。

何の話かって? いや、単に私は昔話をしただけだよ。歳を取ると、つい昔話をしたくなるものさ。

「官打ち」” への6件のコメント

  1. 官打ちって初めて聞いたんですけど、なるほど…これって、たまに聞く、貧乏人が宝くじで高額が当たっても、何年かしたらスッカラカンになって自己破産して破滅する話にも通じるものがありますね…。

  2. 理詰めでしか予想が出来ない若者にとっては結果論に過ぎないことも、既に経験してしまった年寄にとっては必然だったりしますもんねぇ。

    まぁ分不相応ってのは身を滅ぼすとゆー呪詛らしい > 官打ち

  3. 佐藤信彦です。

    「環境相ポストを希望」という報道が出てますね。「責任が軽い割に見た目の良いところを選んだな」と思ってたところにこの「官打ち」のブログ記事を読み、「もしや、彼女は雇用担当相なんて受けたらやぶ蛇になると気付いた」のかと思っちゃいました。

    彼女には防衛大臣とかを要求してもらい、根性を見せてもらいたかった:-p

  4. そんな謙虚なキャラじゃないと思ってたんですけどねー。

    まぁ組閣する側にしてみりゃ妙なイメージダウンを避けたいのはあるでしょうから、ある意味妥当かも。って、妥当だったら「官打ち」にならんのですがw

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