人を呼ぶ自動販売機の話

「人を呼ぶ時計の話」という小噺がある。これをふと先日思い出した。なんてことはない、

こっち。こっち

という奴。

なんでそんな話を思い出したかと言えば、うちの近く交差点で信号待ちをしている時に、突然後ろから何やら呼ぶ声がしたような気がしたからだ。ふり返ると、そこにはジュースの自動販売機。まぁ呼んだわけじゃないんだろうが、何やらしゃべる。何をしゃべったかは思い出せないが、まぁとにかく声をかけられたわけだ。その時に思ったのは、「人を呼ぶ自動販売機って可能だな」ってこと。適当に声かけてりゃ、人は反応するわけだ。

そこからさらに妄想して思ったのは、「自動販売機にカメラがついていて、顔認証で買った人を覚えておいて、通った人の統計とかで声をかける自動販売機」というもの。技術的にもコスト的にも、やろうと思えば今は可能だろう。まぁそこまでやってどれだけ効果があるかは知らないが、やれば出来る。

と思ったところで、よく考えてみれば、タバコの自動販売機には既に顔認証がついているものもあるわけで、実現の可能性はもっと高い。さらに、購入した時はTASPOで個人情報を与えているから、知ってる人が前を通ったら、「○○さんタバコあります?」とかセールスしてみることも可能だ。まぁ、そんなことは多分かつての「タバコ屋のおねーさん」がやっていたことで、顧客サービスとしてはアリな気がする。技術的にも問題ないし、コストと言ってもソフトだけだろう。

なんてことは思ったのは、ちょうど酒井法子が逃亡している時。とまで書けば、次に何を書くか見当がつくと思うのだけど、これをもっと進めれば、「自動販売機による指名手配者の自動通報」なんてことが可能になりそうだ。もちろんそんな判定は誤差があるだろうが、自動販売機なんてのはあちこちにあるし、多少人違いがあってもだいたいの足どりがわかれば捜査もしやすくなるわけだから… とか考えれば、非常に好都合。つまりまぁ、自動販売機にカメラとそれなりのプロセッサをつければ、指名手配者をどんどん追跡するシステムが実現可能だということだ。

ってのは、良い方向の応用なのだけど、よく考えればこれは非常にヤバいことに気がつく。つまり、自動販売機は人の動きの追跡をするための機器として有効だし、それを実現するということは、もはやそう難しいことではない。実験的にやるなら明日からでもやれるだろうし、コストや品質を考えても数年以内に実現出来てしまう。

おまけに日本人は、「防犯のため」と言われると思考停止してどんどん個人情報を提供することを認める世論を作ってしまう性質がある(でなかったらあんなに防犯カメラ増えないだろ)。そう考えると、遠くない将来そんなネットワークは出来てしまうに違いない。

とか考えると、商業的には良さそうな「人を呼ぶ自動販売機」って、出来てしまうといろいろヤバいなぁという気がする。

人を呼ぶ自動販売機の話” への2件のコメント

  1. なんとなく、「マイノリティレポート」という映画を思い出してしまった。
    主人公が逃亡中に、街の至る所にある広告から(顔認証で)名前を呼びまくられるというシーンがあったので。

  2. >主人公が逃亡中に、街の至る所にある広告から(顔認証で)名前を呼びまくられるというシーンがあったので。

    うろ覚えですが、虹彩では?
    闇医者の眼球移植で回避してた気がするんですが。

    顔認証よりは誤検出の問題が少なそうな気はするんですが、これを「通りすがり」にやるにはカメラの精度がちょっと難しすぎますね。

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