紙ってそんなに優位か?

紙の本がなくなるとかどーとか。

紙の本が90%亡くなって欲しいと弾言したくもなる、たった一つの理由

確かに紙の本はなかなかなくならないだろう。私もなくなって欲しい人の一人ではあるけど。

でも、件の

それ自身がプレイヤーであり、常にプレイしているメディアである。

というのは、私は半分しか肯定出来ない。

以下は「プレイ」ということを、勝手に「x bitが立っている」という意味に解釈しての話。

前にも書いているのだけど、紙は

読める時と書ける時が一致していない

というのが最大の欠点じゃないかと思う。

電子化データの場合、あえて止めている場合は別にして、「読める時と書ける時を一致」させることが難しくない。再生ソフトが書き込み機能を持っていればそれでいい。もちろん、それをあえて止めることは出来るし、その機能を実装しなければ出来ない。だけど、一致させるかどうかは、プレイヤを作った人がどう決めるかという問題に過ぎない。

ところが、紙のデータの場合、書き込み可能にしてあったところで、書き込み専用の装置がないと書けない。「書き込み専用の装置」と言ってもたいそうなもんじゃない。要するに

ペンがないと書き込めない

という類だ。もっと大規模な「書き込み」をするには、カッターやらコピーやら必要になる。こういった「編集可能性」の低さってのは、当然ちゃー当然なんだけど、案外忘れがちだ。

もちろん、「俺は本に書き込みしないぜ」という人も少なくないだろう。だから、「いつでもどこでも書き込みOK」にメリットを感じない人は少なくない。でも、「このページとこのページだけ持って行きたい」的な希望を持つ人は結構いると思う。まぁ「必要なページは千切っておく」という人もいるのだけど、私は本は大事にする方なんで、不可逆な加工はしたくない。

そういった加工や編集するということと、「読める」ということを一致させることは、紙の場合それが許可されていたところで容易ではない。電子化データは許可されていれば、やるかやらないかだけだ。

もちろんそのためには、「許可」が必要だし、そのためのデータフォーマットも考えれなければならない。逆に言えば、その辺が解決されてしまえば、紙の「プレイ」は負けてしまう。

かつて「デジカメは銀塩を越えない」的な主張がかなりあった。その時には散々銀塩の優位性が語られたものだし、それはそれなりに説得力があった。アマチュア用でデジカメが優位になった時も、「プロ用は」と語られた。それでも技術の進歩と利便性の要求はどんどん進み、結局プロ用も含めて銀塩は絶滅の危機に瀕している。いろいろな銀塩の優位性は、技術の進歩と利便性の要求の前にけし飛んだ。同じことが書籍で起きないとは限らないのだ。

「弾言」まではしないけど、

紙の「プレイ」能力は案外低い

のだ。人の知的欲求や利便性の要求は、紙の「プレイ」能力を容易に越える可能性がある。既に写真はそうなってしまった。もう「そんなもの」と考えて、「紙の次」を本気で考えるべきだろう。今の電子化書籍は、まだまだいろいろな意味で紙書籍を越えてはいないから。

PS.

忙しいからブクマ見てなかったけど、的外れなブコメが多くてワロタ。

「マーカーという編集」とか言ってるけど、その「マーカー」がなかったで出来ないでしょ。マーカーなくても紙の文書は読めるけど。「電池」云々とか言ってるけど、電池がなければ読めもしないから、「読めるけど書けない」という不便さはないわけ。

「一致している」ということの価値って、そんなに理解困難なのかねぇ。

紙ってそんなに優位か?” への3件のコメント

  1. 電子書籍が「電子書籍」である間、つまり紙書籍のシミュラークルである間は電子書籍は紙書籍を越えられないような気がするよ。

  2. そういった類のことは、一言も書いてないんだが。

    注意深く「電子化書籍」という表現を使ったのは、その手の話を避けるため。デジカメは単なる「デジタル化カメラ」以上になったところに、イノベーションがあったわけで。

  3. 紙媒体の利点?沢山挙げられますよ。

    電子書籍なんかとは違ってページの切り替えが速い点。

    読み進めていく内に、「どこになにがあったか」あたりが付けられるようになる点。英語の辞書なんかも慣れてくると、すぐに当該ページを開けるようになりますよね。ただ、辞書の場合と違って、論文や小説には文脈というものがありますから、単語入力による検索は、ページをパラパラとめくることによる検索より劣ると思いますね。

    比較がしやすい点。ページに指を挟んで、今読んでる箇所と別の箇所を比較することは紙媒体の方が容易ですよね。

    外から勝手に書き換えることができない点。オンラインの場合は有り得る事態ですよね。事実、オーウェルの小説が版権の事情で、勝手に回収されるという事案もありました。

    もちろん、上に列挙したことはある程度までは、電子書籍の普及に伴って、代替的な機能が考案されると思いますが、現時点では、はっきり言ってよく出来た玩具でしかありませんね。

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