チャーシュー(煮豚)

チャーシューの原理は簡単である。「濃い目の味のついた液体で肉塊を煮る」というだけだ。一般には醤油味の液体に豚肉ということになっているが、これはいろいろなバリエーションが可能だ。

ラーメンの汁には「醤油味」「味噌味」「塩味」と3大巨頭があるが、これで見るように味付け的にはこれらは可換である。つまり、味噌味の液体で肉を似てもいいし、塩味の液体でもいい。時々「カレーラーメン」とか「野菜ラーメン」もあるが、これも同様に可換であることを示している。

肉の方も一般には豚バラの塊であるが、脂の苦手な人(私は脂あってのチャーシューだと思っているが)はヒレでも腿でもロースでもいい。また、豚に限らず他の肉でもいい。

ただし、味付けの種類、味の濃度、肉の種類によって、出来上がりは随分違うので、その辺はいろいろ実験してみる必要はある。

今回は、残った玉葱とかがあったので、これらをベースにし、醤油と紹興酒を追加したものとした。これだけではちょっと寂しく思ったので、ニンニクスライスも追加。本当は丸のままのニンニクを入れたかったのだが、恐しく高かったので断念。

作り方は簡単で、これら入り混じった液体の中に適当な大きさに切った肉塊を入れて適当に煮るだけだ。よくチャーシュー用の肉としてタコ糸で縛ってあるものがあるが、その必要はない。あれは比較的薄めのバラ肉から形のいいチャーシューを作るという業務用の技術であって、素人が家で作る時には厚い肉を使えばいい。

煮る時間は材料に合わせて適当にする。最初は目安がわからないだろうから、適当に火が通ったなと思うあたり(箸が通りやすくなる)で切って食ってみればいい。一般論として脂の多い肉は味が通りにくいし、そうでない肉は通りやすいので、脂の少ないのが好みな人は短めの時間にする方が辛くなくて良いだろう。あまり長く煮ると脂が溶けたり辛くなったりするが、私は脂が溶け気味の方が好きなので、やや薄めの味の汁で煮ることにしている。

出来てしまったら、後は酒のつまみなり、御飯のおかずにするなりラーメンに載せるなり好きにする。つまみやおかずにする時には、汁の方をちょっとかけてやるのが良いだろう。

残った汁はラーメン屋ではタレとして使っているものである。家庭で何かの味つけに使うにはちょっとクセがあるが(チャーシュー風味なのだ)、工夫次第でおいしく使うことができる。とっておいて次回のチャーシューに使うことも可能である。

煮ていると上に大量の油が浮いて来る。これは要するにラードであるので、嫌いな人は捨てればいいし、好きな人は取っておいて炒めもの等に使うと良い。これを取るには、一々掬うよりも、肉を除いた後の汁を冷蔵庫で冷やして、上で固まっているものを取るようにした方が簡単である。

後日、鶏肉を入れてやってみたが、鶏肉は豚肉と比べて柔いので、ちょっとした工夫が必要である。皮を外にして巻いて、揚子なりタコ糸なりで止めてやるのが良さそうである。