タダ働きは「使えない」

どうやら「タダ働き」がバズってる。

バズらせてる楠君小飼氏も、「アルファタダ働き」なんで、軽々には言ってないだろう。タダ働きの価値については、私も昔書いてるんで、同じことを繰り返してもしょうがない。

どの文章にも書いてあって、よく読まないと見えて来ないのは、タダ働きというのは

主体的な働き

についてのみ肯定されているということ。つまり、「使われる」側については肯定されてないのだ。

彼等、また私が否定している「タダ働き」は、「使われること」についてのタダ働きだ。戦略的に「タダでも儲かる」あるいは「タダでやってもいい」と判断するのは、あくまでも自分が主体となっている時に限る。なぜなら、表題に書いているようにタダ働きは使えないからだ。

「金」にはいろいろな側面があるのだけど、その一つが「責任の抽象化」だ。つまり、「もらった金の分くらいは責任取れ」ということ。何らかの損害が起きた時には、「損した分返せ」と言いたいところだけど、「払った分以上の責任取れとゆーのも無理な話だよな」という点では納得が行くと思う。そういったこともあるから、FLOSSの時には「好きに持って行っても構わんが責任は取らねーぜ」と明記するわけだ。このことは深く考えるといろいろあるので、ここでは深入りしない。気が向いたら連載ででも書こうと思う。

別の側面の「指揮系統の明示」というのもあって、これについては八田さんの「Linuxディストリビューションの比較,DebianとUbuntu」に詳しく出ているので、そっちを読んでもらうとわかるかも知れない。「報酬出してないから命令も出せない」というのはわかるだろう。ただ、今回はこの側面はポインタだけにしとく。

まー何にせよ使われてる立場の時は、責任はせいぜい給料の範囲だ。それ以上の責任を追及してもしょうがない。そもそも労基法的にはそれすらも禁止に近い。でもまぁ「大人」としてはそれくらいは思ってもいい。また、普通の契約のことを思えば「もらった金が責任の上限」ってのは妥当なところだ。それ以上の責任を負うようにする心意気は悪くないが、契約とか要求とかそういったもので言えば、それ以上の責任を負わせるのはおかしい。

となると、「タダで働く」ということは、「負わせる立場」から言えば何の責任も負わせられない。その時の「責任の取り方」は、本人が「私が責任を負います」と言える時だけ取らせられる。本人がそう言わない限り責任は負わせられない。

ところが、「私が責任を負います」という言葉は軽々には言えない。棒読みとして言うだけなら誰でも言えるだろうけど、実効的に言うのは難しい。「自分が責任を負います」と言うためには、自分でそのリスクが計算出来なきゃいけないし、そのリスクが

自分が負える程度に制御出来なければならない

のだ。リスクを制御するというのは、これまた簡単なことじゃない。単なる技術や行動だけじゃない、場合によっては他人を動かしたりしなきゃいけない。となるとネタ元にあったような「学生がその業界が好きだからタダ働きでも」というレベルでは無理なのだ。他人に使われることしか出来ない立場では、「私が責任を負います」という言葉は実効的には言えない。

こうして見ると「タダ働き」が出来るのは、あくまでも主体的に動くことが出来る時だけだということがわかると思う。そして、主体的に動くことが出来る人は「使われる側」の人ではない。つまり「使えない」のだ。これは能力の問題だけじゃない。タダ働きする能力がある人は、「パートナー」的な対等な立場でのみ働いてもらうべきだ。「使う」なんて関係ではない。

だから、ネタ元の学生さんが言うんだったら、せいぜいが「安くてもいいですから働かせて下さい」くらいまで。「タダでもいいですから」なんて逆効果だ。実際うちに「タダでもいいから修行させて」の類の人が来ても、丁重にお断わりしている。それは労基法云々とか私の手間とかそういったこともあるんだけど、責任とか主体性という点で面倒だから。それに、常識的な経営者だったら、「タダで雇用」なんて考えないものだ。報酬は責任や能力や働きとのバランスを取るべきなんだから。

PS.

なんとゆーツンデレw いや、何でもない。

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This entry was posted on12月 14th, 2008 at 23:35:02. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0. Both comments and pings are currently closed.

One Response

Comments(1)Trackbacks(0)

  1. RRD ◇3MranranlY

    >うちに「タダでもいいから修行させて」の類の人が来ても、丁重にお断わりしている。

    藤田田も似たようなことを著書で書いてたけど「仕事をタダで教えられるか、むしろカネ出せ」という論調でした。
    本音は、ここに書かれてるようなことなのかもしれませんが。

    2008/12/15 月曜日 8:33:48 | #1
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