「中型メインフレーム「IBM System z10BC」の不思議」

ITProの連載が掲載されたので、他の記事も読んでみる。

中型メインフレーム「IBM System z10BC」の不思議

書いてあることはだいたいわかるんだけど、ちょっとおかしいところを発見した。料金の支払いに関してだ。

この記事の中で、「キャパシティ・オン・デマンド」方式の支払いのことが書いてある。「キャパシティ・オン・デマンド」とは、いつでも必要な時にCPU能力を増減出来ることらしい。原理的には「富山の置き薬」みたいにCPUを余分に置いといて、それを使うようにするらしい。その説明なのだが、

料金は使用量に応じて支払うのだが、前金で支払う方法と、使用した分を後払いする方法がある。例えば、年度末に予算が余っていたら前払いをしておき、次年度に使うといったことに利用できる。処理量が急に増えたときに前払いなら素早くできるという。後払いは支払い後に、CPUを増やせるので少し時間がかかってしまうそうだ。

気になるのは、この中の「例えば」の部分。「年度末に予算が余っていたら前払いをしておき」のところ。

言いたいことはわかるし、気持ちはわからんでもないんだけど、これをやると多分税務所から睨まれる。なぜなら、明らかに翌年度のための思われる支出を今年度に行うからだ。

同じような支出は、たとえば「地代家賃」がある。たいていの家賃は、「翌月分を当月払う」ことになっている。この時の申告では、「翌月分」に関しては経費算入は出来なかったはずだ。同様に、長期に渡る支出、たとえば権利金とか貯蔵品とかも、「当該年度内」で消費とみなされるものだけが、当年の経費算入となる。「家賃」なんかはずっと続くものだから、平時にはどっちがどうなっても違いは出ないけれど、途中で引越したりするとその辺はちゃんと計算しなきゃいけない。

これがたとえば、「広告宣伝費」のようなものであれば、「来年度の売上のため」と思って支出しても、実際の支出は今年度に行われるし、どうせすぐ「消費」されてしまうから、今年度の経費に出来る。結果が出るのは翌年度でも、今年度の支出になる。しかし、こういった内容のわかった料金でやると、多分税務所から睨まれると思う。まぁわからないかも知れないけど。

ということで、予算の使い回しという点では、間違ってはいないけれど、「税金」という観点だと面倒なことが起きるので、注意した方がいい。つーか、この記事はそういったミスリードを招きそうに思うのだが。

PS.

「前払い費用として扱えば」というブコメがあったけど、↑で書いてるのはその前払い費用の扱いについての話。広告宣伝費も前払い費用の一種なのだけど、これは当該広告を「実行した時」の費用とみなされます。だから、広告自体が年度内に終われば問題なし。↑の例でも同様に「実際にCPUを増やした時」の費用とみなされるので、支出が年度内であっても実行されるのは翌年度以降になるので、多分税務所は許してくれない。

「中型メインフレーム「IBM System z10BC」の不思議」” への3件のコメント

  1. 経営とか税金はよくわかりませんが…
    CPUのキャパシティ・オン・デマンドの前払いはテレホンカードの仕組みとよく似ているような気がします。
    年度末に予算が余っていたら、テレホンカードを購入して通話料の支払いに備えるというのは税務署的にはNGなのでしょうか?

  2. 「テレホンカード」はもっとNGです。あれは換金可能なので、「使った」ことになりません。

    まぁごまかし方はいくらでもあるのは、↑の例でも同じではありますが。

  3. 確かにそうですね。
    携帯電話のない頃、営業員の連絡用にテレホンカードを会社から現物支給しているというような話を聞いたので似たようなもので簡単にできると思ってしまいました。

コメントは受け付けていません。