「Web2.0と同様にOSSの無償経済は消滅するのか」

OSSネタは連載に書けっつー話もあるけど。

ひがさんのエントリ、

Web2.0と同様にOSSの無償経済は消滅するのか

連載の方でしつこく何度も書いてるんだけど、私は「オープンソース」と「フリーソフトウェア」を厳密に区別することにしています。だから「OSSの無償経済」と言われると、「???」と思ってしまいます。まぁその辺はあっちを見てもらうとして。

景気後退で「オープンソース」がどうなるかと言えば、私は「むしろ伸びる」という考えです。

以下あくまでも「オープンソース」視点。

「むしろ伸びる」と信じている私は、DJIAや日経が連日下げているのを見ると、「下げろ下げろどんどん下げろ。俺の時代よやって来い」と思ってしまう。や、自分の持ってる株的にはあまり良くないんだけど。でも、経済環境はこっちに都合良くなるなーと歓迎。

なんでそうかと言えば、

  • とにかくOSSは安くて良いシステムが作れる
  • 経済環境が悪ければ悪いほど、「能力」が問われる
  • うちは株価の影響を受けない。強いところは影響を受ける

あたりが理由。

「OSSは安くて良いシステムが作れる」のは、もう説明の必要はないと思う。もちろん資金潤沢であれば、「金かけて良いシステム」というのがアリだろうけど、景気が悪くなるととにかく支出を削られる。そうなると、金のかけようがない。多少ショボくても金がかからない方がいいし、良いシステムになるんだったらそっちの方がいい。最近は金取るソフトは「金かけて良いシステム」を目指す方向ばかりのように見えるので、そっちの方景気の影響は厳しいと思う。

「経済環境が悪ければ悪いほど能力が問われる」というのは、別にビジネスに限ったことじゃない。景気が良ければ「猫も杓子も」になるのは、どの世界でも変わりはない。でも、景気が悪くなると、猫や杓子に金払う人はいなくなる。「能力」がなければ金を払ってもらえない。FLOSSの世界の人達は一般に「猫や杓子」よりも能力があるから、金を払う方にしてみれば、「猫や杓子」を捨てて能力のある方に金を払うようになるはずだ。もちろん全体の需要は減るだろうけど、この世界

8割は「猫や杓子」

だったりするわけだ。「猫や杓子」よりも能力がある者が本当におまんま食い上げになるのは当分先だろう。もちろん局所的には不遇な目にあう人もいるだろうが、多分そんな人達は「転職して幸せ」になれるはず。これはSIerの選択についても同じだろう。

あと、うちのようなところ、つーかたいていのOSSをやっているところは、そんなに大企業じゃないし、大企業の顧客も持ってない。だから、株価が下がったところで資金繰りがどうこうなったりしない。もちろん社会全体の景気は停滞するだろうけど、零細企業にとっては、

いつも景気停滞状態

だから、誤差の範囲だ。強いものが沈めば、その分だけパイは拡がる。いかにも強そうなIT企業が潰れるのは、胸がすく思いだ。ざまぁwwww

まぁそんなわけで、「OSSをやっている」というのは、景気の悪化についてはどっちかと言えば有利な方向に働くだろうと思う。借金出来なくて潰れるとかは、あるかも知れないけどね。

で、後半の「無償経済」の方だけど、この点については悲観的だ。これについては追い追い連載の方に書こうと思っているところ。いや、別に「OSSが普通有償になる」という類のことではなくて、あるいは「OSSはいずれ潰れる」という方向でもないのだけどね。まぁ簡単に言えば、OSS(FLOSS)と言えども「IT業界の変わるべき方向」とは無関係ではないということ。

これは私が自分の会社をどう位置づけ、どう方向づけるかということとも関係がある。少なくとも弊社は、

FLOSSでSIする会社じゃない

わけだし、そっちの方向は向いてないし向く気もあまりない。